ユニファイドコミュニケーション(UC)はどのような形で企業に浸透していくのか。それを占ううえで興味深い指摘がある。OCS R2認定ゲートウェイを開発する米N.E.T.社。その日本法人であるN.E.T.Japanの日本統括・シニアSEマネージャーである岡部順一氏は次のように語る。
「日本では、ユニファイドコミュニケーションはPBXの機能の範疇で語られてきたが、欧米ではまったく逆。メールのリアルタイム性を強めるところからスタートし、チャットが使われ始め、相手のプレゼンスが把握できるようになり、ボイスメールが融合し、さらにそれがモバイルで使用可能なものに進化した。ユニファイドメッセージ(UM)が先行する形でUCが導入されている」
電話の統合は最後のステップであり、ユニファイドコミュニケーションとはつまるところ「UM with PBX」というわけだ。非リアルタイムとリアルタイムのコミュニケーションを統合するものと言い換えてもいい。
コミュニケーション基盤をユニファイドコミュニケーションへと移行するには、いくつかの形態が考えられる。IP-PBXにユニファイドコミュニケーションの機能を詰め込むというのが、従来PBXメーカーが進めてきた方法。それに対し、マイクロソフトのOffice Communications Server 2007 R2(OCS R2)、NECのSphericall、IBMのLotus Sametimeはいずれも、既設のPBXをUCに取り込むというアプローチを取っている。シスコのユニファイドコミュニケーション製品と自社IP-PBXとの連携ユニットを開発する富士通も同様だ。
既存PBXをユニファイドコミュニケーション基盤に取り込む――。PBXのリプレースという“荒療治”を伴わないこの道筋こそ、ユニファイドコミュニケーション導入の本命と言えるだろう。