3.1.6 実現方法ではなく目指す姿を経営層とも共有
また、社員がボトムアップで提案し、新たな全社インフラを構築するというプロセスも初めての試みであり、数々の未検討リスクが想定されました。そこで、着手前からリスクだけを捉えて難色を示され以降の取り組みが頓挫しないよう、課題認識や目指す姿をブレイクダウンした実現方法にチャレンジしたい、と提案しました。
社内SNS導入の狙いは、あくまで「全社員が組織や役割を越えて主体的に協力し合う社風作り」であり、社内SNSは社内コミュニケーションを活性化させるためのひとつの手段であることを強調し、経営層の共感を得ることができました。
その背景には、「職場の雰囲気が重苦しく風通しが悪い」「特に若手層で同僚との関係が薄く、個々人で業務を遂行している意識が強い」といった声が社内で挙がっていたことがあります。そのため、経営層の間でも社内コミュニケーションの活性化に対する強い問題意識が共有されていました。
もちろん、「私的利用との線引きはどう考えるのか」といった質問も出ました。これに対しては、「ネット上の喫煙ルームのような効果を見出すもの」と説明しました。社内システムの私的利用という観点で捉えるとネガティブな印象を持つ役員であっても、喫煙ルームで生まれる雑多なコミュニケーションの有効性について否定する役員はいませんでした。喫煙ルームでのちょっとした会話と同様、業務とは直接関係ない話題であっても息抜き程度であれば、社員間のコミュニケーションがより活性化する効果の方に期待できること、そして完全実名制とすることで自制効果が期待できることを伝え、理解を得ていきました。
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