<特集>コロナ・5G・AI
ベライゾンビジネスCEO「5Gがすべてを変えていく」

ベライゾン エグゼクティブバイスプレジデント
兼 ベライゾンビジネスグループ CEO
タミ・アーウィン氏
「ベライゾンは今後も5Gへの旅路を先導する役割を担っていく」――。通信業界のグローバルリーダーの1社である同社は今、新型コロナにどう立ち向かい、さらに5Gをどう推進しているのだろうか。世界150カ国に顧客を持つベライゾンビジネスのCEO、タミ・アーウィン氏は「新型コロナでDXは加速する。5Gの需要も伸びていくだけだ」と語る。
――ベライゾンは世界最大の通信事業者の1社ですが、まずは最近の状況について教えていただけますか。
アーウィン 2018年の夏、新しいCEOが就任しました。ハンス・ベストベリという人間です。かつてエリクソンのCEOを務めていたので、そのときに彼をご存知だった方もいるでしょう。
2018年、我々の業績は良かったのですが、CEOになって彼は「2つの選択肢がある」と言いました。1つは「何も変えない」、もう1つは「あらゆるものを変える」という選択肢です。
彼が選んだのは後者でしたが、その背景には「テクノロジーが今後あらゆるものを変えていく」という想定がありました。なかでも5Gがワールドワイドで展開されることによって、すべてが変わっていくと思ったのです。
それでハンスは、「ベライゾンは5Gの先頭に立たなければならない。それこそが我々に期待されていることだ」とあらゆるものを変えることに決めました。
――その言葉通り、ベライゾンは2019年4月3日、世界の先頭を切ってモバイル向け5Gサービスを開始しました。また、それに先立ち、ベライゾンは2018年10月から5Gによる固定ブロードバンドサービスも提供しています。
アーウィン 我々のワイヤレス事業は、かつてボーダフォンとの合弁でしたが、数年前にボーダフォンの持ち分を買収しました。これもあって、無線技術に関する十分な能力があったわけです。
つまり、無線と有線の技術を統合したインテリジェントエッジネットワークをきちんと構築できるポジションを築けていました。インテリジェントエッジネットワークとは、ソフトウェアを軸に無線と有線のアセットを統合したネットワークのことで、これにより非常に大規模なコネクティビティを実現できます。
また、周波数の確保や光ファイバーの敷設という点についても十分な準備をしてきており、5Gへの道筋はしっかりと出来ていたのです。
――新CEO就任後の2019年1月には、組織再編も実行しました。
アーウィン ベライゾンビジネス、ベライゾンコンシューマー、ベライゾンメディアの3つの組織に集約・再編しました。
私がCEOを務めるベライゾンビジネスは、グローバル展開する大企業や中小企業、政府などの公共部門を担当しています。年間売上は320億ドルで、150カ国のお客様に対してサービスを提供しており、社員も68カ国に所在しています。
デジタル化が進むなか、お客様のニーズは急激に変化しています。これに対応するためには、我々自身もテクノロジーによって変わる必要があります。そのためには「組織も変革する必要がある」と組織再編を行ったのです。

月刊テレコミュニケーション2020年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)
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タミ・アーウィン(Tami Erwin)氏
ベライゾンビジネスグループのCEO就任前は、ベライゾン ワイヤレスの運用責任者であり、米国最大の住宅用および商用ファイバーネットワークであるVerizon Fiosのビジネスを率いた。スタンフォード大学 経営大学院でエグゼクティブ プログラムを卒業、パシフィックユニオンカレッジで経営学を専攻