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「適材適所」で活きるLPWA “旬”は物流・スマートメーター・HACCP対策

文◎村上麻里子(編集部) 2020.06.17

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低速・低消費電力・低コストを特徴とするLPWAは、今話題の5Gとは“対極”の存在。様々なモノがインターネットにつながる時代を迎え、LPWAならではの市場は確実に広がっている。

3月下旬、通信キャリア3社が相次いで5G商用サービスを開始した。

高速大容量・低遅延・多数同時接続を特徴とし、高消費電力・高コストの5Gと“対極”にあるのが、LPWA(Low Power Wide Area)だ。

LPWAは、通信速度が数十~数百kbpsと低速であり、一般的な電池で数年から場合によっては10年ほど運用できる省電力性、数㎞~数十kmの通信が可能な広域性を有する。しかも低コストだ。

国内では2017年に仏SIGFOX社の独自規格であるSigfoxと、非営利団体「LoRaアライアンス」が標準化や普及をサポートするLoRaWANがサービスを開始。その後、ZETAアライアンスの「ZETA」、ソニーの「ELTRES」などが次々に登場した。これらの規格は、無線免許が不要な920MHz帯を利用することから、「アンライセンス系LPWA」に分類される。

一方、無線免許が必要な携帯電話用周波数を使用する「ライセンス系LPWA」のLTE-MやNB-IoTも通信キャリア各社から提供されており、LPWA市場は“百花繚乱”の状態にある。

巷では5Gやローカル5Gが注目を集める中で、「LPWAはどうなっているの?」という疑問を抱いている人が少なくないだろう。

確かに数年前のような話題性はないが、様々なモノがインターネットにつながるIoT時代を迎え、LPWAならではの市場は増えている。

昨今盛り上がりを見せる「物流」「スマートメーター」「HACCP対策」を中心に、LPWA市場の「今」を紹介する。

物流IoTに変革もたらす「ZETag」物流はLPWAとの親和性が高い分野であり、当初から活用が進んできた。

というのも、コンテナの位置管理や倉庫の在庫管理のIoT化には、従来の無線規格ではコストや消費電力、カバーエリアなどの面で課題があったからだ。

LPWAの分野別規模でも物流・資産管理は最も規模が大きく、2021年にはグローバルで4億7400万ドル(約510億円)まで拡大するとの予測もある(IHS Technology調べ)。

国内では、Sigfoxのオペレーターである京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が、物流IoTに積極的に取り組んでいる。

Sigfoxは、1回あたり12バイトと軽量なデータを1日最大140回、通信速度は平均100bpsとLPWAの中でも極めて少量かつ低速のデータを扱う。このため消費電力が少なく、通信料金も年に数百円程度と低コストだ。このようにシンプルで低消費電力、低コストであることが、大量のモノを長距離に運ぶ物流には適しているという。

加えて、もともとSigfoxに備わっている測位機能を強化していることも挙げられる。

Sigfox基地局が受ける電波強度で位置を測位する「Atlas Native」、Wi-Fi電波を使ってデバイスの位置を測る「Atlas Wi-Fi」に続き、2020年には、Sigfoxビーコンを用いて誤差最大10mと高精度な位置測位を行える「Atlas Bubble」が登場する。

また、国際ローミング技術「SigfoxMonarch」により、国ごとに異なる周波数を自動的に切り替えたり、接続関連のレギュレーションを自動判別するので、複数の国をまたいで移動するモノをシームレスに追跡することも可能だ。

KCCS 取締役 LPWAソリューション事業部 事業部長の松木憲一氏は「コンテナやパレットの盗難が増えており、その対策としてSigfoxによる位置管理を導入する案件が増えている」と話す。

物流IoTの分野に今後革新をもたらしそうなのが、「ZETag(ゼタグ)」だ。

 

 

ZETAアライアンスの「ZETag」
ZETAアライアンスの「ZETag」は、従来のアクティブタグと比べて
10倍の通信距離、10分の1のコストを実現する


 

ZETAの開発企業であるZiFiSense社が新たに開発したデバイスで、電池を含めて厚さはわずか3mm。デバイス自体が中継器としての機能を搭載することでバケツリレー式にデータを送受信するマルチホップメッシュネットワークというZETAならではの特徴により、市街地で1~2km、見通しで3㎞ほど離れた場所にデータを送信できる。その電波を基地局側で解析して位置を割り出し、荷物の配送管理などに活用する。デバイスの単価は現時点では数百円程度だが、将来は数十円まで下がり、使い捨てが可能になるという。

従来のアクティブタグは通信距離が100~300mで、デバイス単価が数千円と高価なため、小包の配送のような大量かつ長距離のトラッキング(追跡)には用いることが難しかった。しかし、「10倍の距離、10分の1のコストになることで物流市場での普及が進むだろう」とZETAアライアンスの創設メンバーで、テクサー代表取締役の朱強氏は期待を込める。

国内メーカーがZETagのチップセット(SoC)の製品化に乗り出すなど準備は最終段階に入っており、年内にも実用化されそうだ。
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