「データ駆動型で農業を元気に」、NTTと農研機構が連携協定

農業の課題をIoTで解決する――。NTT東日本とNTTアグリテクノロジー、農研機構の3者は2020年2月19日、データ駆動型農業の地域実装を推進するための連携協定を締結した。農産物栽培マニュアルをデジタル化し、圃場からIoTで取得した環境データと自動的に連携する仕組みを日本で初めて構築。3月から全国12カ所で検証を行い、2021年内の本格展開を目指す。

NTT東日本は2019年7月に、グループ内で初の農業専業会社であるNTTアグリテクノロジーを設立し、IoT/AI技術を活用した「次世代型施設農園」の運営、自治体と協力したICT活用プロジェクト等を行っている。

今回、この2社と国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が連携協定を締結した。目的は、「データ駆動型農業」の地域実装だ。農研機構 理事長の久間和生氏は、「Society5.0で政府が進めるデータ駆動型社会の実現につながる」と今回の協業の意義を説明。「農業に関しては、2025年までに農家のほぼすべてがデータを活用した農業を実践することが目標とされているが、NTTとの協業はそれを推し進めることになる」と話した。


(左から)NTT東日本 代表取締役副社長の澁谷直樹氏、農研機構 理事長の久間和生氏、
NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長の酒井大雅氏

3者は、農研機構の研究実績、NTTのICT技術と活用ノウハウ等を活かして、農業の生産性向上や生産者の所得向上を目的に取り組みを進める。NTT東日本 代表取締役副社長の澁谷直樹氏は、「農業生産者は高齢化に伴い、省力化、技術の継承、遊休地の増加といった様々な課題を抱えている」と現状を説明。これまでにも、ICTを活用した課題解決プロジェクトを進めてきており、そのノウハウや知見、収集した地域ニーズを今回の取り組みにも活かす考えを示した。


今回の取り組み内容のイメージ。圃場の環境データをクラウド上で「栽培マニュアル」と連携させる

具体的な活動としては、農研機構が保有する農産物栽培マニュアルと、圃場に設置するIoTセンシング機器を活用して生産者を支援する仕組みを構築し、3月からフィージビリティスタディ(実行可能性調査)を行う。上の図は、そのイメージを示したものだ。

農研機能と地域の農業試験研究機関が保有する栽培マニュアルの多くは紙で作成・管理されているが、これをデジタル化してクラウド上に格納。圃場に設置した環境センサーが収集する温度・湿度等のデータと自動的に連動させ、圃場環境の管理に役立つ情報や栽培方法をタブレット端末等に表示する。


これまでの栽培管理との比較

NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長の酒井大雅氏は、「圃場データをセンシングする仕組みは導入が進んでいるが、栽培マニュアルの多くが紙ベースのため、データをモニタリングする際には紙のマニュアルと突き合わせながら『この温度でよいのか」を確認している。デジタル化し、自動的に連携する仕組みを作ることで見比べる必要がなくなる」と話した。

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