企業ネットワーク最前線

Web会議の雑音にサヨナラ AIでノイズを消去するKrispが上陸

文◎村上麻里子(編集部) 2020.02.07

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

「働き方改革」に欠かせないWeb会議システム。しかし、騒音で会議がスムーズに行かないことが少なくない。「Krisp」は、AIでノイズだけを確実に消去し、クリアな音声でのやり取りを実現するアプリだ。

 
自宅や外出先のカフェ、サテライトオフィスなど、会社以外の場所からWeb会議システムを使って会議に参加する─。今や当たり前となりつつある光景だが、現実には遠隔コミュニケーションに適した静かな場所の確保が難しく、生活音や音楽、周囲の話し声などの環境音により相手の声が聞き取りづらいことが少なくない。

また、オフィスの会議室に専用端末を設置し、複数人が参加してWeb会議を行う場合も、ノートPCのキーボードを叩く音や紙の資料をめくる音、咳払いやくしゃみといった雑音をマイクが拾ってしまい、会議の妨げになることがしばしばある。

ブイキューブが2019年11月19日に国内独占販売を開始した米KrispTechnologiesのノイズキャンセリングアプリケーション「Krisp(クリスプ)」は、こうしたWeb会議における「音」の課題を解決するものだ。

人の声と騒音を確実に識別Krispは、マイクやスピーカーなどのハードウェアから入力された音を人の声と騒音に分解し、人の声のみを送受信することで、環境音などのノイズを軽減する。

技術の核となるのが、「krisp NetDNN」と呼ばれる積層ニューラルネットワークモデルだ。5万人の音声および2万種類のノイズを計2500時間分学習させることで、人の声と騒音を確実に識別することを可能にしている。

一般的なノイズキャンセル機能は、騒音の位相と逆の位相を持つ音を生成し、互いに打ち消し合うことで騒音を消す仕組みを採用する。

この仕組みの場合、エアコンの音や犬の鳴き声、外を走っているクルマの音といった「定常的なノイズ(定常騒音)」は検知・処理することができる。しかし、サイレンや叫び声のように、高い周波数の音や突発的な音についてはノイズとして認識しないため、あまり効果がない。これに対し、Krispは膨大な学習データを基に「叫び声であれば、子供の泣きわめいている声は騒音として消去し、大人が驚いて発している大声は音声として残すというように判断することが可能」とKrisp Technologies Co-Founder兼CEOのデービット・バグダサリアン氏は説明する。

(左から)ブイキューブ 代表取締役社長の間下直晃氏、Krisp Technologies Co-Founder兼CEOのデービット・バグダサリアン氏
(左から)ブイキューブ 代表取締役社長の間下直晃氏、
Krisp Technologies Co-Founder兼CEOのデービット・バグダサリアン氏



Krispは、デバイスにアプリをダウンロードしセットアップした後、メニューバーの「ノイズを消す」というトグルボタンをオンにすれば利用を始められる。話者のマイクから他の参加者に伝わるノイズと、他の参加者からスピーカーを通じて伝わってくるノイズの双方に対応し、通話を中断することなくリアルタイムにクリアな音声を実現する。

音声の検出・処理はすべてデバイス上でローカルに行われ、クラウドやサーバーに送信したり保存しないため、音声データが外部に漏えいする心配もないという。

「Krisp」は、メニューバーの「ノイズを消す」というトグルボタンをオンにするだけで、話者のマイクから他の参加者に伝わるノイズと、他の参加者からスピーカーを通じて伝わってくるノイズの両方を消去する
「Krisp」は、メニューバーの「ノイズを消す」というトグルボタンをオンにするだけで、
話者のマイクから他の参加者に伝わるノイズと、他の参加者からスピーカーを通じて伝わってくる
ノイズの両方を消去する



 バグダサリアン氏らがKrispの開発に着手したのは2016年のこと。翌年には会社を設立し、スタートアップが新製品を投稿する米国のサイト「Product Hunt(プロダクトハント)」にKrispを出品したところ、大きな反響を呼び、2018年の年間最優秀製品に選ばれた。それを受けて、2019年6月から正式にサービスの提供を開始した。

Krispは、法人向けプラン「KrispTeams」と個人向けプランの2種類が用意されており、それぞれ月額3.33米ドル、6.67米ドルで利用できる。1アカウントにつき3端末まで使うことも可能だ。

本格開始からまだ半年余りにもかかわらず、法人向けプランの導入企業はグローバルですでに約3000社に上る。マイクロソフト、インテル、セールスフォース・ドットコムなど有力企業も多い。

Krispはシスコシステムズ「CiscoWebex」やZoom Video Communications「Zoom」、マイクロソフト「Skype for Business」といったWeb会議システムだけでなく、音声通話サービスなど600以上のコミュニケーションアプリと連携。ビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)コールセンタープロバイダーの米Sitelでは、在宅コールセンター業務の騒音対策に活用されているほか、法人向けクラウドプロバイダーの米Vonageが販売パートナーとなっている。

一方、個人向けプランはテレワークが盛んな米国だけでなく、世界150カ国以上、3万人を超えるユーザーに利用されているという。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

iij2005
juniper2005
redhat2005

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】ローカル5G 中間報告

●先行5事例で見えてきた期待と課題 ●日本と違う独ローカル5GNTT東西のローカル5G ●ローカル5G制度の最新動向 ●ローカル5G普及を阻む4つの壁

[インタビュー]NICT ワイヤレスネットワーク総合研究センター長 寳迫巌氏「Society 5.0へ無線フル活用 テラヘルツ波は結構飛ぶ」 [ソリューション特集]ウェビナーに最適な配信サービスは?/セキュアテレワークの処方箋 【IoT×SDGs】Sigfoxで高齢化に負けない賃貸住宅 ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

パロアルトネットワークスSASE実現するクラウドセキュリティ
従業員は意識せず安全なテレワーク

GWの逼迫解消、ローカルブレイクアウト、ユーザーの快適さを一挙に!

Microsoft Teams会議から1万人の仮想イベントまで
コラボの場はリアルからTeamsへ

Microsoft Teamsの利用が急増中だ。
4月時点の利用者数は1日7500万人!

丸文ローカル5G“実用化”へ万全の備えを
試験・置局、セキュリティまで網羅

ローカル5Gには何が必要か。長年キャリアを支援する丸文に尋ねた。

インテルネットワーク変革をインテルが牽引
仮想化技術でローカル5Gにも貢献

インテルの5Gビジネスが加速してきた。ローカル5Gにも取り組む。

ライムライト・ネットワークス・ジャパン8K対応/安定性/超低遅延
選べる3つのライブ配信サービス

自社だけでは困難な高品質ライブ配信をライムライトが強力サポート!

クラウド&サービスプロバイダ向けのオンラインイベント「新たな時代に向けたネットワーク」通信事業者の新たな時代に向けた
ネットワーク「Telcoクラウド」

ジュニパーのクラウド&サービスプロバイダ向けバーチャルサミット!

e-Janネットワークス「明日からテレワーク」。そんな急なニーズにも安心・安全に応える

テレワークをすばやく全社展開できる「Splashtop for CACHATTO」

都築電気テレワークと健康経営の実践4年目
その知見をワンストップで提供

働き方改革を推進する都築電気がテレワークに最適なグループウェア!

アライドテレシスNWベンダーならではの脆弱性診断
セキュリティの第一歩はここから!

アライドテレシスなら簡単かつ安価に脆弱性診断ができる!

NTTコミュニケーションズ「ゼロトラストセキュリティ」へ
移行するための5つのポイント

脱・境界型セキュリティを図るための要点をNTT Comに聞いた。

IIJVPN逼迫やSaaSが遅い問題を解消!テレワーク環境整備を手軽に実現

Office 365等のSaaSが迫る企業NWの再設計にIIJのクラウドプロキシ!

ジュニパーネットワークスAIがUXを最大化するネットワーク
トラブル解決を自動運転で!

AIが自律的に障害対応するNWを
ジュニパーはすでに商用で安定稼働

レッドハット5G×コンテナ基盤×アプリを
エッジで自律運用

5G時代のNWインフラはエッジも自律運用できるクラウドネイティブへ

シスコシステムズいま知るべき5Gのセキュリティ脅威
大変革時代を「シスコはこう守る」

5G網は様々なサイバーリスクを内包する。シスコはどう対抗するのか。

ゼットスケーラーゼットスケーラーだからできる!
セキュリティとNWの脱・レガシー

オンプレミス非依存のセキュリティと、場所に囚われないNWアクセスを

NetskopeなぜNetskopeならテレワークが進むのか? 秘訣は一元制御にあり!

セキュリティが不安でテレワークが進まない。そんな悩みを簡単解消!

シエナシエナが800G光伝送のトビラ開く
1波長で400Gイーサ×2chを伝送

「800ギガが欲しい」。キャリアやクラウド事業者の声にいち早く応えた

リコーの「ITKeeper Meraki スマートサービス」テレワークは安定した接続環境から

一人情シスでも安心! テレワークを支える安定したネットワーク環境整備をリコーが支援

SigfoxLPWAの先頭集団を行くSigfox
約85万件の大規模導入も!

人口カバー率95%を超えたSigfox。最大の導入事例がニチガスだ。

丸文5G時代の差別化戦略を下支え!

5G時代到来でキャリア、クラウド事業者等が迫られているネットワーク変革の課題解決に注力する丸文

ハイテクインター2.5GHz帯プライベートLTEの
基地局を「100万円以下」で!

ハイテクインターは自営等BWA導入の全ステップをサポート

マクニカネットワークス脱純正トランシーバーでコスト削減
データセンター100G化に新選択肢

サードパーティ製の光トランシーバーでコスト抑制と自由度向上!

ZETAアライアンス“ビジネスになるLPWA”に101社が結集 市場創出に挑むZETA

弾みが付いてきた新興のLPWA規格、ZETA。その可能性を探った。

ガスミエールLPWAで安価にガス事業の効率化!

アズビル金門の「ガスミエール」でLPガス事業の業務効率化!LTE-Mにより遠隔から遮断・復帰も!

ドコモ・システムズNTTグループ23万人を支える
テレワークツール

伝統的な日本企業が作ったツールだから、かゆい所に手が届く!

WhatsUp Goldネットワーク監視に圧倒的使い勝手
安価な導入コストでも厚い支持

中小企業から通信キャリアまで、WhatsUp Goldが人気の理由とは?

MOVEit Transfer / MOVEit Automationデータ保護新時代のファイル転送
HIPAA、GDPRなど各種規制に対応

主要データ保護規制に準拠した安全なファイル転送ソフトの決定版!

ジュニパーネットワークス“ただのSD-WAN”はもう要らない!
LANもWi-Fiもすべてクラウド管理へ

今必要とされているのは、“SD-WAN+α”のソリューションだ。

ホワイトペーパー

アクセスランキング

decode2
tc_banner191122

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます