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Wi-Fi 6の使い道を徹底解説――高密度環境でも安定、オフィスやスタジアムでも活躍

文◎松本一郎(編集部) 2019.10.18

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Wi-Fiの新規格「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」の仕組みとユースケースを解説する。高密度環境に強くなり、実効速度が大幅に改善された。IoT化が進むオフィスや工場、大学などで採用が進みそうだ。

 
無線LANの最新規格「IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)」における最大の進化が実効速度の向上だ。

シスコシステムズ エンタープライズネットワーキング事業担当 シニアプロダクトマネージャーの前原朋実氏は「Wi-Fi 6はスループットよりも通信品質を上げる方向にフォーカスしている」と解説する。

Wi-Fiはこれまで最大通信速度をメインターゲットに進化してきた。Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)では最大6.9Gbpsと、Wi-Fi 4(IEEE802.11n)の300Mbpsと比べて、20倍以上の高速化が図られている。対してWi-Fi 6の最大通信速度は9.6Gbpsと、Wi-Fi 5からの進化はかなり控えめだ。しかし、実効速度については「4倍を目指している」(日本ヒューレット・パッカード Aruba事業統括本部 シニアITスペシャリストの苫名亮氏)。

実効速度の向上に大きく貢献するのがOFDMAだ。これは、1つのチャネルを複数の端末に分割して割り当てる技術で、すでにLTE/4G通信に採用されている(図表1)。

 

図表1 OFDMとOFDMAの違い
図表1 OFDMとOFDMAの違い


Wi-Fi 5で採用されていたOFDMでは、1つのチャネルを1つの端末がまとめて使っていた。しかし、OFDMAでは1つのチャネルを複数のサブキャリアに分割し、複数のユーザーに効率的に割り当てる。複数のユーザーが同じチャネルで同時に通信できるようにすることで、周波数の利用効率を上げているのだ。

苫名氏は「アルバ社内でWi-Fiの通信を計測したところ、オフィスでは、256byte以下のショートパケットが中心だった。こうした小さなパケットを送るのに、OFDM方式は効率が良いとは言えなかった」と指摘する。OFDMでは前パケットの送信完了を待つ必要があったが、OFDMAでは必要に応じて帯域を分け合うため待ち時間が大幅に短縮する。

多数接続も安定、省電力もまた、Wi-Fi 5の第2世代(11ac wave2)で下り通信に採用されたMU-MIMOが、Wi-Fi 6では上り通信にも適用される。MU-MIMOとは電波干渉が起きないように、位相をずらして複数の端末に向け、電波を同時に送信する仕組みのこと。これまではAPからクライアントへの通信のみ適用していたが、クライアントからの通信も同時に扱えるようになる。最大ストリーム数もWi-Fi 5の4本から、8本に拡張される。

また、Wi-Fi 6ではOFDMAやMU-MIMOの強化に加えて、高密度環境での接続を安定させるため、BSSカラーリングという技術も採用された。

APが乱立している都心部などでは、AP同士が同じチャネルを使うことで、頻繁に干渉が発生している。そこで、Wi-Fi 6からはMACフレームにカラーコードと呼ばれる情報が新たに記載されるようになった。カラーコードを参照することで、各端末は自分が通信しているAPを区別できるようになり、接続が安定する。苫名氏は「ようやく1台のAPに100も200もデバイスが繋がる環境が提供できる」と語る。

「Target Wake Time」(TWT)という新機能も搭載される。この機能ではAPと端末間で通信を行うタイミングをあらかじめ決定し、そのタイミングで通信を行う。端末はAPの信号を待機する必要がなくなり、必要な時間だけ通信機能をONにすることで、帯域幅と端末のバッテリー消費を抑えられる(図表2)。

 

図表2 Wi-Fi 6の主要アップデート
図表2 Wi-Fi 6の主要アップデート

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