ICT×未来

有線IoTの大本命「802.3cg」が2020年登場――1km先へ給電できる10Mbpsイーサ

文◎太田智晴(編集部) 2019.03.04

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

イーサネット初のIoT向け規格の標準化作業が進んでいる。最大1kmのデータ伝送・給電能力を有する「IEEE802.3cg」だ。取り回し易さやコスト、耐環境性などにも優れ、有線IoTの可能性を一気に広げる。

 
本格普及期に突入しつつあるIoT――。その重要な牽引役の1つとなっているのがLPWAだが、IoT向け通信技術のイノベーションは、何も無線ネットワークの領域だけで起きているわけではない。実は今、有線ネットワークの領域でも、注目すべきIoT向け通信技術の準備が進んでいる。

通信速度は10Mbpsと低速ながら、通常のLANの最大100mを大きく超える最大1kmのデータ伝送と給電を実現できる「IEEE802.3cg」(10BASE-T1)の標準化作業が2020年3月に完了する予定なのだ。

国内での実用化に向けた議論も、情報通信技術委員会(TTC)のIoTエリアネットワーク専門委員会(WG3600)の通信インタフェースサブワーキンググループ(SWG3604)で、昨年4月からスタートした。

 

図表1 IEEE802.3cgの主なスペック(TTCで標準化を進めているスペック)
図表1 IEEE802.3cgの主なスペック(TTCで標準化を進めているスペック)


イーサネットは従来、通信速度と給電能力の向上をターゲットに進化してきた。しかし、802.3cgは違う。LPWAと同様、追い求めたのはハイパフォーマンスではなく、IoTに本当に必要なスペックである。

これまで無線IoTの陰に隠れて、あまり脚光を浴びてこなかった有線IoT――。この有線IoTの世界を一変させるポテンシャルを秘めた802.3cgの詳細について、IoTエリアネットワーク専門委員会の特別委員である北陸先端科学技術大学院大学の丹康雄教授、委員を務めるNECマグナスコミュニケーションズの安川昌毅氏、NTTアドバンステクノロジの田島公博氏への取材をベースに解説する。
  (左から)NTTアドバンステクノロジ グローバル事業本部 環境ビジネスユニット EMCセンタ リーダー(主席技師)の田島公博氏、北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授の丹康雄氏、NECマグナスコミュニケーションズ ネットワーク事業部 技術部 マネージャーの安川昌毅氏
(左から)NTTアドバンステクノロジ グローバル事業本部 環境ビジネスユニット EMCセンタ リーダー(主席技師)の田島公博氏、北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授の丹康雄氏、NECマグナスコミュニケーションズ ネットワーク事業部 技術部 マネージャーの安川昌毅氏

 

1ペアのケーブルを使用802.3cgとは一体どんな技術か。まず通常のイーサネットと大きく異なる点が、利用するケーブルだ。

Cat.5e/Cat.6といった8芯・4ペアの一般的なツイストペアケーブルも利用可能になる予定だが、基本的には2芯・1ペアのツイストペアケーブルを用いる。そのため802.3cgは「Single Pair Ethernet」と呼ばれる。線材が4分の1に簡素化されることで、低コスト化や省スペース化、ケーブルの取り回し易さの向上が図れる。

 

図表2 IEEE802.3cgは1ペアのケーブルを使うIoT向けイーサネット規格
図表2 IEEE802.3cgは1ペアのケーブルを使うIoT向けイーサネット規格


Single Pair Ethernetについて、初めて耳にした人は多いだろう。ただ実は「すでに3つの規格の標準化が終わっている」(安川氏)イーサネット規格である。

初のSingle Pair Ethernet規格は、2015年10月に標準化が完了した「IEEE802.3bw」(100BASE-T1)だ。

802.3bwは通信速度100Mbps、伝送距離は10/40mのクルマ向けイーサネット規格。従来の車載ネットワーク、CAN(Controller Area Network)の通信速度は1Mbpsに過ぎず、高解像度の車載カメラの映像伝送などの用途には使えなかった。そこで規格化されたのが802.3bwだった。通常のLANケーブルよりも径が細い1ペアのツイストペアケーブルのため、狭い車両内部でも効率的にケーブルを取り回せる。

その後、2016年6月には通信速度1Gbpsの「IEEE802.3bp」(1000BASE-T1)、同12月には給電用の「IEEE802.3bu」(PoDL:Powerover Data Line)の標準化も完了した。

これら標準化済みのSingle Pair Ethernet 規格はいずれもクルマ向けで、すでに普及も始まっている。自動車業界の主要企業が参加するSingle Pair Ethernetの普及推進団体、OPEN AllianceのWebサイトには、2022年には3億5000万ポートのSingle Pair Ethernetが出荷されるという予測が掲載されている。

「いくら原材料費が安くなるといっても、わざわざ新たな伝送媒体を使うより、ボリュームの出ている既存のLANケーブルを使ったほうが安く済むのではないか」─。Single Pair Ethernetに対して、そう思った人もいるだろう。この疑問に対する答えがここにある。

次世代車載ネットワークとして採用されたSingle Pair Ethernetは今後、大量のボリュームが出ることが確実視されているのである。

そして、Single Pair Ethernetにおいて、初めてクルマ以外もターゲットにしたのが802.3cgだ。クルマにとどまらず、工場IoTやスマートホーム、ビルオートメーション、農業IoTなど、民生/産業領域の多様なIoT用途に応える。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

nttcom1902
sbcloud1902
nec1902

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】常識を覆す「新しいワークスタイル」の出現
働き方改革のNEW POWER

◆「ABW」という新しい働き方 ◆IoTで働き方を見守る ◆旅先で働くワーケーション ◆MaaSで働き方改革 ◆NTT東が分身ロボを使う理由

●[インタビュー] HPE Aruba 田中泰光氏「IoT時代へインフラの抜本改革」/●自営5G向け28GHz帯の「割当方針案」/
●ビジネスメール詐欺を防ぐには?/●多数の5G基地局を光ファイバー1本で収容 ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

ハカルプラス後付け簡単&低コスト! 5km飛ぶLoRa無線機で始める設備のIoT化

IoT導入時のハードルをぐっと下げる、ハカルプラスの「LoRa無線機」

サイバーソリューションズビジネスメール詐欺など、メールセキュリティを送受信の双方で強化

MAILGATESΣなら、既存メール環境と組み合わせて解決できる

ZETAアライアンスマルチホップができる革新的LPWA
ZETAでIoTビジネスを掘り起こす!

マルチホップという他のLPWAにない特性で、次々にユースケース開拓!

ソネット“ネットワークエンジニア不要”は
本当だった!

コスパの高さと圧倒的使い易さに感銘! Ubiquitiのユーザーが証言。

ラクスメール対応ミスを複数人管理で減少
誤送信を防ぐ送信前チェック機能も

返信モレに重複対応、誤送信……。メールによる顧客対応の課題解決!

NECモバイルワークに必須のアイテム
いつでもどこでも内線通話を実現!

NECのUNIVERGE ST500は、スマホを内線端末として利用可能にする。

NTTコミュニケーションズ働き方改革を中小・中堅企業へ!

テレワークに必要なモバイルNW、PC、セキュリティをオールインワン提供するNTT Comの新パッケージ

SBクラウド日中間通信を国内並みの高品質に!
安心して使えるQR決済を下支え

Alipayで安定した決済サービスを提供するために導入した回線は?

パロアルトネットワークスパブリッククラウドをセキュアに!
24/365最新ポリシーで自動監視

パブリッククラウドのセキュリティリスクを軽減する「RedLock」

シーディーネットワークス中国でのWeb配信を8.5倍高速化
国内CDN事業者で唯一現地法人

中国でのWeb配信にはグレートファイアウォールなど多くの壁がある。

IIJグローバルソリューションズ日中の拠点間通信に“第3の選択肢”
セキュリティ対策も万全

日中間通信で「高品質」と「低コスト」の“いいとこ取り”!

ヤマハヤマハ独自の音声処理技術で
高音質な遠隔会議を実現!

しかも、規模に合わせて最適なマイクスピーカーが選べる。

TCloud for BizChat「月額180円」という低価格で
本格的な企業向けチャット!

都築電気の「TCloud for BizChat」の最大の特徴が安価な料金だ。

NTTテクノクロス長時間聞き取りやすい!
電話機とつなぐだけで会議を開始

NTTテクノクロスのマイクスピーカーならクリアな音声で遠隔会議。

日立ソリューションズ作業実績を簡単に収集&見える化
「IoTサイコロ」で製造現場改革!

製造現場の働き方改革の「切り札」がIoTサイコロだ。

アクセスランキング

tcb
http://amzn.asia/d/ejYdrIg

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます