ユニファイドコミュニケーション(UC)の核はプレゼンス――。UCベンダーは皆、こう口を揃える。
コミュニケーションを取りたい相手の状況――在席や離席、電話中など――を可視化することで、無駄なアクションを排除するのがプレゼンスシステムだ。ソフトフォンを使っているユーザーであれば、すっかりお馴染みだろう。
コミュニケーションを効率化するのに最も重要なのは、ツールの数や届く範囲ではない。デバイスやツールの多様化、モバイル環境の向上で、コミュニケーション可能な空間はどんどん広がっているが、“すれ違い”もまた増えている。プレゼンスを経由することで初めて、コミュニケーションツールはその効果を発揮するのだ(図表1)。
図表1 プレゼンスを利用したコミュニケーション(クリックで拡大) |
ICTの進化は、明確に1つの方向性を示している。それは、“誰もが常につながっている”ことを前提とした世界だ。NECの企業ネットワークソリューション事業本部・企業ネットワーク事業企画部の本間祐司グループマネージャーは、こう語る。
「その前提の下に、つながっていない人(または手段)を見分け、その間をどうやって効率的につなぐか。今後は、そうした観点でコミュニケーションが進化していく」
プレゼンスは今後のコミュニケーションの進化を語るうえで、欠かせない基盤なのである。
このプレゼンス機能は、コミュニケーションシステムにとって古くて新しい機能だ。これまでそれほど普及していない最大の要因は、ユーザー自身が“わざわざ”ステータスを変更しなければならない手動更新だったことだ。更新をサボり始めたとたん、その仕組みは簡単に瓦解する。「在席中」だから電話したのに本人がいない、「離席中」のはずなのに部署に立ち寄ったら本人がいる――。そんな信用ならないものを、誰が利用するだろう。
だが現在は、普及への“最低条件”とも言える情報取得・更新の自動化はもちろん、情報の種類と厚みも増しながら大きな進化を遂げている。
普段通り業務をこなす中で端末の状態や位置情報などを自動的に吸い上げ、さらにグループウェアなどの他のシステムとも連携することで、ユーザーは手間なく、より詳細で質の高いプレゼンス情報が交換できる――。そんな最新型プレゼンスの実力を探っていこう。