AIでマルチパス通信を最適化、NECがモビリティ向けの品質確保技術を開発

NECは2025年6月9日、コネクテッドカーや鉄道、ドローンなどの移動体に安定した通信を提供する、モビリティに適したAIによるマルチパス通信の最適化技術を開発したと発表した。

本技術は、移動や輻輳によって時系列的に大きく変動する帯域を高精度に予測し、複数の車外通信を融合して車の通信要件(特性、優先度)に応じて最適に再分配するもの。これにより、限られた帯域でも多様なサービスを効率的に収容しつつ、通信品質を確保することが可能という。

本技術のコンセプト

本技術のコンセプト

特徴は次の3つだ。

1つめは、リアルタイムな経路選択。アプリケーションレベルの品質の充足度を高精度に予測し、コネクテッドカーなどの移動体側でリアルタイムにマルチパス通信の適切な経路を選択することを可能にした。

(1)応答性能、(2)QoE(Quality of Experience)、(3)コスト、(4)周辺環境の4つの要素に基づく経路選択技術と時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術により、高品質な通信を維持しつつ、収容効率を最大化するリアルタイムで切れ目のない通信を実現する。

2つめは、マルチアプリケーション、マルチパス通信に対応した通信制御だ。遠隔監視、車両制御、エンタメなどアプリケーションごとの特性と、モバイル回線、衛星回線、Wi-Fiの回線特性に合わせて通信を制御。複数のアプリケーションを同時に利用した場合でもマルチパス通信の経路切り替えやハンドオーバー時の影響を最小限に抑える。

本技術の構成

本技術の構成

3つめに、場所・時間・移動状況の膨大な組み合わせにおける最適解を導出する。

各エリアで収集した通信品質情報を基に、時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術により、回線ごとのQoEを抽象化し、品質とコストを最適化する回線の組み合わせを導出。モビリティ基盤側で、移動経路・環境条件・使用アプリケーションに合わせた経路選択が算出でき、RSP(Remote SIM Provisioning)などの技術と組み合わせることにより、エリアごとに最適な通信環境を構築することが可能になるという。

NECは本技術を用いたソリューションの開発を進め、2025年度内に実用化することを目指す。

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