ユニファイドコミュニケーション集中講義[第2回]進化する企業コミュニケーション――「端末と端末」ではなく、「人と人」をつなぐUCへ

IPTPC(IP電話普及推進センタ)の千村氏と竹井氏を講師に招き、ユニファイドコミュニケーション(UC)に関して基礎から学んでいく集中講義シリーズ。第2回は、企業コミュニケーションの変遷についてレクチャーしてもらいます。

――第1回ではユニファイドコミュニケーション(UC)の定義などについて聞きました。第2回では、UCはどのように発展してきたのか――企業コミュニケーションの変遷を辿りたいと思います。

竹井 企業コミュニケーションの変遷をまとめたのが下の図表です。ご覧の通り、VoIPがUCの出発点となっています。

図表 企業コミュニケーションの変遷 [出典:IPTPC]
図表 企業コミュニケーションの変遷 [出典:IPTPC]

なぜVoIPがUCのスタートポイントなのか。それを説明するうえでは、前回紹介したUCの定義が役立つでしょう。IPTPCではUCの1つめの条件を「UCは必要なコミュニケーションツールをIPネットワークによって統合する」としていますが、IPで統合するのが最も難しいのが音声や映像なのです。

――なるほど。コミュニケーションツールのうち、統合が最も難しい1つである音声のIP統合が可能になったことで、UCは出発点に立ったわけですね。

竹井 そうです。最初の「VoIPインフラ」の段階では、音声・データのIPネットワーク統合により、オフィスの移転やフロアレイアウトの変更も含めたインフラ整備コスト、通信コスト、保守運用コストなどの「コスト削減」が可能になりました。また、PCからクリック操作で発信できるWeb電話帳やプレゼンス(居場所と状態)が確認可能なIM(インスタントメッセージ)などにより、「生産性向上」も可能になりました。

次の段階は「VoIPモバイルインフラ」です。モバイルブロードバンドや携帯端末の普及に伴い、企業にセキュアな無線LANとVoIPモバイルシステムが導入されていきます。また、携帯電話事業者の提供するFMCサービスにより、VoIPシステムと連携した定額の内線電話(ワンナンバー)も利用可能になりました。

こうしたことで実現可能になったのが、オフィスのフリーアドレス化やリモートアクセスなどによる「ワークスタイル革新」で、組織の枠を超えたコラボレーションやオフィススペースの削減も行えるようになりました。

――3番目の段階として挙げられているのは「ビジュアルコミュニケーション・インフラ」です。

竹井 光ファイバーやNGNなど、超高速ブロードバンドの普及を背景に、ビジュアルコミュニケーションが本格的になってきました。ISDNの時代からビジュアルコミュニケーションはあるにはありましたが、ストレスなく使えるものはありませんでした。フェイス・トゥ・フェイスの対面会議に近い臨場感のあるテレプレゼンス(高品質テレビ会議)も登場しています。この人の移動を伴わない遠隔会議の利活用によって、バーチャル会議やテレワークなどの「ワークスタイル革新」が可能になりました。

IPTPC(IP電話普及推進センタ)

IPTPCは、IP電話システム構築を実現するための知識・技術を持った技術者の育成をサポートする団体。2002年11月よりIP電話システムに関わる技術者の早期育成を目的とした「IPTPC VoIP認定技術者制度」の運営を行っており、OKI、NEC、日立製作所、岩崎通信機、富士通、パナソニック システムネットワークスの6社が参加する。現在、IPTPCの資格保有者の数は1万5000名以上

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