三菱地所が「大丸有」にローカル5G 国内初、同一エリア内の複数施設に導入

三菱地所は今年12月、大丸有エリアでローカル5Gの実証実験を開始する。VR会議、ロボットの遠隔操作、美術館の遠隔鑑賞などの検証を通じ、街全体の付加価値向上につながる活用方法を探るのが狙いだ。

約28万人が働く日本有数のオフィス街である大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリア。120年以上にわたり丸の内の開発を手掛けてきた三菱地所が、ローカル5Gの整備に乗り出す。

三菱電機の協力の下、4.8-4.9GHz帯の無線局免許を取得しローカル5G環境を構築、今年12月から実証実験を開始する予定だ。

三菱地所は6月、DXによる新たなまちづくりをうたった「三菱地所デジタルビジョン」を策定した。同ビジョンでは、オフィスビルなどのオフラインとオンラインを人や企業が自由に行き来できる環境づくりや、様々なデータの分析・活用により各自に最適化された体験の提供などを目指している。

「オフラインとオンラインを融合するためには、データなどをつなぐ必要がある。その通信手段として5Gが重要なファクターになると捉えている」。三菱地所 管理・技術統括部 統括の花岡大輔氏はこう説明する。

三菱地所 管理・統括技術部 専任部長 桑久保達也氏(左)、同 統括 花岡大輔氏
三菱地所 管理・統括技術部 専任部長 桑久保達也氏(左)、同 統括 花岡大輔氏

キャリアの5Gではなくローカル5Gを選んだのは、「SIM認証により、高セキュリティかつ安定的な通信環境を整備できる」「用途に合わせて、上り/下りの帯域の配分を柔軟に変更可能」「災害時に輻輳などの影響を受けにくい」という3つの理由からだという。

ローカル5G環境を構築するのは、①三菱地所本社のある大手町パークビル、②丸の内仲通りビル、③東京ビル、④丸の内ビル、⑤三菱一号館美術館、⑥大手町仲通り、⑦TOKYO TORCH Parkの計7カ所だ。ビル内の複数フロアにローカル5Gを整備するケースはこれまでもあったが、同一エリア内の複数施設に面的に導入するのは今回が初めてという。

月刊テレコミュニケーション2021年9月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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