サウザンドアイズ・ジャパンは2020年8月5日、インターネットの可用性とパフォーマンスを調査する同社のレポート「2020インターネット・パフォーマンス・レポート」を発表した。ISP、パブリッククラウド、CDN、DNSを対象に、新型コロナウイルスでインターネットにどのような変化があったのか、地域やプロバイダの枠を超えて、その影響を長期的に調査したものという。
世界的な感染拡大前の1月と比較して、3月の障害発生数は63%に増加。同レポートは、「前例のない数の障害が世界的に発生」と分析している。障害発生数は2020年上期を通して、パンデミック以前と比べて増加しており、6月は1月比で44%増となった。
北米とアジア太平洋地域(APAC)のISPでは、3月の障害数が最も多く、1月と比較すると、それぞれの地域で65%、99%増加。現在は平常値に戻っているという。一方、EMEA地域では月を経るごとに障害数が増え、1月と比較して6月にはその数は45%増加した。
ISPの週間障害発生数(APAC)
また、クラウドの安定性が全体的に高かった一方、最も影響を受けたのはISPであると分析。1月から7月の間、クラウド事業者の障害数は400件強だった一方、ISPでの障害数は4500件強を記録した。全体では、障害の80%以上がISPのネットワークで起きており、クラウドでの障害数は10%未満だった。
時間帯別で見ると、パンデミック以前の傾向と同様に、障害は営業時間中のピークタイムに発生することが多く、大きな障害は営業時間外に発生することが多かったとしている。
曜日・時間帯別の障害発生数
このように障害数は大幅に増加しながらも、「全体として、インターネットはよく耐えた。前例のない状況でネットワークの障害が増える中、インターネット関連のインフラはよく持ちこたえた」と同レポートはインターネット関連事業者の対応を評価。「未知の要求に応えるべく、キャパシティと可用性を健全に提供するためには、サービス事業者の敏捷性が不可欠だった。トラフィックの遅延、ロス、ジッタといったマイナスの要素は許容範囲に収まり、クリティカルなネットワークの逼迫は見られなかった」としている。
なお、調査期間中には、事業者サイドの調整によるネットワークの一時的な停止もあったという。2月以降に観測されたネットワーク停止の多くには、ネットワーク事業者が変化するトラフィック量を調整しようとネットワークに加えた変更に起因する一時的なものもあると延べている。