IIJの取り組み:「M2M用途で使っている企業は現在30社ほど」大手ISPのインターネットイニシアティブ(IIJ)は、2008年にNTTドコモをホストとしてMVNOに参入、2014年にはM2M専用のデータ通信サービス「IIJモバイルM2Mアクセスサービス」(以下M2Mアクセスサービス)や企業が手軽にM2Mシステムを構築できるようにする「IIJ GIO M2Mプラットフォーム」の提供を開始し、ワイヤレスM2Mソリューションの展開を本格化させている(図表)。
図表 IIJが展開しているIoT/M2Mプラットフォーム |
IIJでモバイルサービス部長を務める安東宏二氏は同社のIoT/M2Mビジネスの強みを「IoT/M2Mで使いやすい料金のサービスや、簡便にシステムを構築できるプラットフォームなどのパーツをワンストップで提供することで、企業が持っているアイディアを具現化できる」点にあると説明する。
ソリューションの中心に位置するのが、MVNOのM2Mアクセスサービスで、①LTEによる最大150Mbps通信が可能だが、利用時間を夜間の22時~翌朝6時に限定する「プランA」(バッチ処理などに適合)、②通信速度を200kbpsに制限する「プランB」(リアルタイム情報収集などに適合)、③サーバー側の回線帯域で契約するM2M事業向けの「プランC」の3つの料金メニューが用意されている。
IIJ ネットワーク本部 モバイルサービス部長 安東宏二氏 |
通信モジュールやドングル、モバイルルーターなどのM2Mデバイスやセンサー類もパートナーとの協業によって提供する。さらに、デバイスの管理、データの収集・可視化・蓄積などを実現するM2Mプラットフォームやビッグデータの並列分散処理環境を同社のIaaS型クラウドサービス「IIJ GIO」のメニューの1つとして提供する。
ユーザーはこれらから必要なパーツを用いてM2Mシステムを効率的に作りあげることができるのだ。IIJではSIerと協業し、個別にユーザーのシステム構築のニーズに対応する体制も整えている。
安藤氏は「M2M用途で使っている企業は30社ほど、回線数では数万になる」という。用途は車両管理や流通系の案件が中心だ。IIJでは年内のMVNOの回線数100万超えを目指しているが、安藤氏は「市場が本格的に立ち上がれば総回線数の数十%をIoT/M2M向けが占めるようになるのではないか」と期待をかける。
IIJのIoT/M2Mへの取り組みは大手通信事業者と似た部分も多いが、最近、ヘルスケアや電力といった用途や業界を想定した形で具体的なソリューションの開拓にも力を入れてきているという。強みであるIT技術を活かして市場を創り出そうというのだ。