【ワイヤレスジャパン】ファーウェイ周氏が5G技術に対するビジョンを解説

華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)副社長兼マーケティング&ソリューションセールス本部長の周明成氏は2015年5月27日、「ワイヤレスジャパン2015」で「5Gが実現するモバイル・インターネットからコネクテッド・ワールドへの変革」と題した基調講演を行った。

ファーウェイ・ジャパン副社長兼マーケティング&ソリューションセールス本部長の周明成氏

移動通信分野ではGSM、3G、LTEとほぼ10年ごとに新たな技術が生まれている。来るべき5Gについて、周氏は「NFV/SDNによりネットワーク上でさまざまな機能が仮想化できるようになり、人、モノ、そして考え方までもがインターネットにつながるようになる」と述べた。

5Gの技術要件はまだ検討段階にあるが、「1000億の接続、10Gbpsのスループット、1ミリ秒の低遅延」などは業界内でも共有が進んでいるという。

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5Gでは1000億の接続、10Gbpsのスループット、1ミリ秒の遅延によりInternet of Everythingが実現する

では、5Gに至るまでのロードマップはどうなるのか。「特に現行のLTE-Advancedからの進化は非常に重要なポイント」と周氏は指摘した。3GPPではRelease 14/15で5G技術が検討・仕様化され、2020年に商用化される予定となっている。その間、5Gの技術を部分的に導入したLTE-Evolutionを展開するというのが、ファーウェイの提案だ。

今後4Kが普及するとスループットは数百Mbpsになると予想されるが、LTE-Evolutionでは免許不要帯を使うLAA(Licensed Assisted Access)により最大600Mbpsまでを実現するという。このLAAはLG U+やNTTドコモと共同でデモを実施していて、16年第2四半期までに商用化を予定している。

免許不要帯を使うLAAは2016年第2四半期までに商用化を予定している

こうした容量の増大に加えて、接続数の増大や低遅延などLTE-Evolutionで5Gにより近づくことになる。

その5Gでは「新しい周波数の追加、新しいアーキテクチャ、新しい無線インターフェースという3つのテーマが重要になる」(周氏)。なかでも無線インターフェースは最も重要な機能という位置づけで、効率的にさまざまなサービスを複数のシナリオでサポートできる。OFDMAや全二重通信などに対し、基地局側に100以上のアンテナ素子を設置するMassive MIMOがサポートすることで周波数の利用効率の向上を図るという。

ファーウェイは09年から5Gの研究開発に取り組んでおり、18年までに約6億ドルを投資する。また、各国の企業との連携により、エコシステムを推進している。例えばロシアの大手移動通信事業者MegaFonと5Gの開発で協力しており、18年にロシアで開催されるFIFAワールドカップまでに同国で5G試験ネットワークを構築する計画だ。

周氏は「2020年に5Gが実用化されるというと夢のような話に聞こえるかもしれない。それまでに解決すべき課題も多いが、お互いに協力して5Gを実現していきたい」と語り、講演を締めくくった。

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