NTT東日本の無線ビジネス 成長のカギは「ロボティクス」と「型紙化」

NTT東日本の無線ビジネスが好調だ。Wi-Fiやローカル5Gなどの無線技術を軸とした地域課題解決をミッションとしているが、今後の展開をどう描いているのか。担当する渡辺部長に詳しく聞いた。

「通信手段ありきではなく」

「NTTe-city Laboを2022年5月に開設して以来、累計2万人を超えるお客様に来ていただいている。自治体の首長はもちろん、最近では修学旅行生も訪れる」。NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 部長の渡辺憲一氏はそう語る。

NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 部長の渡辺憲一氏

NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 部長の渡辺憲一氏

東京・調布市のNTT中央研修センタ内に設置されているNTTe-city Laboは、NTT東日本が提供する地域課題の解決のためのソリューションを体感できる施設で、さらに屋外を含めた実フィールドで無線技術の検証も行っている。実際にDXを支えるシステムが稼働する様子を見て学べる場として、多くの来訪者に好評を得ている。

NTTe-city Labo内の「νLab(ニュー・ラボ)」。Wi-Fi HaLowやWi-Fi 6Eなどの新たな無線技術の検証を行う

NTTe-city Labo内の「νLab(ニュー・ラボ)」。Wi-Fi HaLowやWi-Fi 6Eなどの新たな無線技術の検証を行う

NTT東日本は「地域会社として、地域の課題と向き合うことがミッション」(渡辺氏)と位置づけ、各産業や自治体の課題解決を支援している。「無線の案件を手掛ければ手掛けるほど、日本が直面する少子高齢化や労働力不足の深刻さを実感する」と渡辺氏は語る。人口減少が進む地域においても持続的な発展を支えるためには、IoTやロボティクスに代表される無線技術を活かしたソリューションが不可欠だということを肌で感じており、その実感がラボでのソリューション開発の土台となっている。

そのうえで渡辺氏は、「NTT東日本の強みは、幅広い通信手段をフルラインナップで提供できること」と述べる。光回線に始まりWi-Fi、ローカル5G、LPWAといった法人向けプライベートネットワークの選択肢を揃え、各企業や自治体のニーズに応じた最適な通信環境を構築している(図表1)。

図表1 NTT東日本が提供するプライベートネットワークのラインナップ

図表1 NTT東日本が提供するプライベートネットワークのラインナップ

例えば2015年に提供を開始したマネージドWi-Fi「ギガらくWi-Fi」は、2024年9月時点で38万台超のアクセスポイントが稼働し、国内最大級の企業向けマネージドWi-Fiサービスへと成長している。コロナ禍を経て、中堅中小企業を中心にオフィス内の無線ネットワーク環境を適切にコントロールしたいという要望が顕著だという。自治体にも多く採用されており、業務利用のほか、公共施設のフリーWi-Fiとしても活用されている。

また、子会社のNTTブロードバンド・プラットフォーム(NTTBP)は、インバウンド需要の回復とともに利用が再び拡大している公衆Wi-Fiサービスのほか、高度な大企業向けWi-Fiにも力を入れている。

このように多くの通信手段を取り揃えるが、NTT東日本は「通信手段ありきではなく、顧客の課題に応じて最適なソリューションを組み合わせる」ことを重視する。回線、装置、そしてコンサルティングやSIを含めたトータルな支援をワンストップで提供しているのが特徴といえるだろう。この戦略が、年間「数百億円」(渡辺氏)という無線関連事業の売上を大きく支える要因となっている。

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