世界中の通信キャリアが課題とする「5Gのマネタイズ」。キャリア各社は、5Gの特徴を活かしたアプリケーションやサービスの開発を促すことでこれを成し遂げようとしているが、目立った成功例はまだ出てきていない。
この状況を打開する手段の1つとして注目されているのが、ネットワークAPIだ。アプリ開発者らが5Gネットワークの機能にアクセスできるようにすることで、5Gを活用したビジネス開発を後押しする。
5Gマネタイズで注目されるAPIと、活用の課題
ただし、このAPI活用には課題があった。KDDI コア技術統括本部 技術企画本部でBeyond5G戦略室長を務める松ヶ谷篤史氏は、「国やキャリアによって、同じ機能でもAPIの仕様がバラバラ。サービス開発者がいろいろなキャリアのAPIを使おうとすると差分を吸収しなければならず、ビジネスがスケールしない」と説明した。
そこで求められたのが、世界中のキャリアへ共通的なアクセスを可能にする「共通API」だ。これがあれば、アプリ/サービス開発者はキャリアごとに個別対応する必要がなくなり、「どのネットワークでも同じ機能が呼び出せる」(同氏)。
2023年2月に、この共通APIを実現する「GSMA Open Gateway」構想がスタートした(参考記事:キャリアがGAFAMと組む道 テレコム業界のAPIエコノミーを作る)。KDDIはそのボードメンバーを務めており、現在267社が参画。46社がすでに商用サービスを開始している。