「スマートホームを“公共財”に」 能登半島地震を機に、JAIST丹副学長が構想する新しい地方の形

能登半島を相次いで襲った大規模災害。復興に向けた努力が続けられる中、日本のスマートホーム業界をリードするとともに、石川県のデジタル化推進においても重要な役割を果たしてきた北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の丹副学長が、新しい地方の形を提唱している。キーワードは「社会基盤の中のスマートホーム」。地方での新しい暮らし方を支える「日本型スマートホーム」について聞いた。

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 副学長 教授 丹康雄氏

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 副学長 教授 丹康雄氏

能登には6000年前から人々が暮らしてきた

――能登半島地震は、甚大な被害を及ぼし、能登では今も復興に向けた取り組みが続いています。丹先生は、石川県や北陸地方のデジタル化に深く関わられてきましたが、震災をきっかけに「元に戻すというよりも新しい形はないか」と、スマートホームを活用した新しい地方の形を提案されています。

 一番の問題は、人口を都市に集中させるという明治以降のモデルから抜け出せていないことなのです。「地方からデジタルの実装」と掲げるデジタル田園都市国家構想にしても、やはり頭の中には首都圏での今の暮らし方があって、それを地方でどう実現するかという話になっている側面があるように見えます。

今回の能登の災害で身に染みて思うのは、能登というのは6000年前から人々が暮らしてきた地域だということです。縄文時代からずっと人が住んでいたということは、文明の力がなくても、人間が生きていける環境が揃っているということです。田んぼや畑、山からいろいろな作物を収穫できて、海の幸も豊富です。にもかかわらず、今、人がどんどん逃げ出すような状況になっているというのは、おかしなことです。なぜ21世紀にもなったのに、文明の力を使って、自然豊かな地域でしっかり暮らしていくことができないのでしょうか。

こうした思いが「新しい形」の必要性を言い始めた一番のきっかけです。

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