<特集>ローカル5G 10大注目トレンドローカル5Gでドローン新時代 「上空利用」解禁で地域DX後押し

総務省は2024年度中に5Gの利用規制を緩和し、TDD帯域の上空利用を可能にする方針だ。公衆5Gが未整備なエリアを中心に、「ドローン+上空ローカル5G」を地域DXに活用する場面が増えそうだ。

総務省は2024年度内に、ドローンによる5G使用を解禁する方向で準備を進めている。5G用周波数帯の「上空利用」を可能にするための技術的条件等を年内にとりまとめる予定だ。

この帯域には、ローカル5G用の帯域も含まれる。

上空利用のメインターゲットであるドローンは、山間部や海上など、通信事業者の5Gネットワークが未整備な地域での活用が期待されている。例えば、ダムや橋梁等を空撮ドローンで撮影し、高精細映像をローカル5Gで伝送してすぐに確認できれば、インフラの点検作業が効率化できる。

そのほか、災害現場での被災状況の把握、鉄道・高速道路など交通インフラの巡視、スポーツ中継など、5G解禁によってドローンの用途は拡大。「上空ローカル5G+ドローン」による地域DXの後押しも期待される。

4G/5G上空利用の現状

携帯電話網はそもそも、基地局と地上端末との通信を前提にエリアが整備されている。これをドローンやヘリコプターといった上空を飛ぶ移動局との通信に使うと、周波数を共用する公共業務用無線や衛星通信との干渉を起こす可能性が高まる。また、ドローン等から吹き下ろす電波が地上の通信に影響を及ぼす可能性もある。

そのため上空利用は規制されていたが、一方で、ドローンの利用拡大に伴って4G/5Gの上空利用ニーズが顕在化。これに対応するため、段階的に制限が緩和されてきた。

大きな転機が、2023年4月の高度制限撤廃、FDD帯域における5G利用の解禁だ。これにより上空150m以上でも利用できるようになり、また、800/900MHz帯、1.7/2GHz帯については5G方式(FDD-NR)も使用可能となった。上空利用に必要な携帯電話事業者への申込手続も合わせて簡便化され、現在では1週間程度で利用可能となっている。

そして現在、総務省の上空利用検討作業班で焦点となっているのが、ローカル5G帯域を含む4.7GHz帯と28GHz帯のTDD方式の上空利用だ(図表1)。2024年7月から、これにBWA帯(2.5GHz帯)を含めた各帯域について、ドローン等に搭載して上空利用した場合の同一・隣接帯域を使用する無線システムへの影響等の評価、技術的条件の検討が進められてきた。帯域によって条件もニーズも異なることから、総務省は結論が得られたものから順次取りまとめを行う方針。2024年度内に一部の帯域で上空利用が解禁される見込みである。

図表1 ドローン等による上空利用を検討する周波数(4.7GHz帯、28GHz帯)

図表1 ドローン等による上空利用を検討する周波数(4.7GHz帯、28GHz帯)

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