“生成AIブーム”の火付け役となったChatGPTのリリースから1年以上が経過したが、その勢いはさらに加速している。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、国内の生成AI市場における2023年~2030年の年間平均成長率(CAGR)は47.2%で、2030年の需要額は約1.8兆円に到達する。
野村総合研究所(NRI)は、生成AIの活用フェーズを、「生成AIのアプリを用いた既存業務のサポート(フェーズ1)」、「生成AIを既存業務の高度化・効率化に利活用(フェーズ2)」、「生成AIで自社の業務やビジネスモデルを変革(フェーズ3)」という3段階に分けて考察している。
生成AIの活用フェーズ
現時点では、メール文案の作成や文書の要約など「フェーズ1」の取り組みが中心だが、金融や製造業を中心に「フェーズ2」の動きが活性化しているという。特に、製品デザインの自動生成や問い合わせ対応への生成AI活用が増えているとのことだ。
例えば伊藤園は、自社製品のパッケージデザイン作成に生成AIを活用。トヨタ自動車の研究機関であるトヨタ・リサーチ・インスティチュートは、デザイナーのスケッチから空力性能を最適化した複数のデザイン案を作成する画像生成AIを開発した。
生成AIを活用した製品デザインの自動生成
東京海上日動火災保険は、言語生成AIを活用した顧客対応業務の実証実験を実施。言語AIの回答素案を整形して回答を作成することで、約50%の省力化が可能になるという。
また小売業界では、商品説明文の自動作成に生成AIが活用されている。例えばメルカリは、「AIアシスト」機能を導入。出品した商品情報を分析し、出品者に対して売れやすくなる改善策をAIが提案する仕組みだ。
生成AIを活用した商品説明文の自動作成
他にも、広告クリエイティブ制作のプロセスを効率化する「ムゲンAI」を電通デジタルが開発するなど、「広告コンテンツの自動生成」もトレンドだという。