スマートフォンやタブレット端末からの情報漏えいを防ぐにはどうしたらいいのか、多種多様なデバイスを効率的に管理するにはどうすればいいのか――。IT・ネットワークの管理担当者にとって頭の痛い、そうした悩みに応えるソリューションが目白押しなのも、今年のワイヤレスジャパンの特徴の1つだ。数あるセキュリティ対策、モバイルデバイスマネジメント(MDM)ソリューションの中から特徴的なものをいくつか紹介しよう。
SMS飛ばしてドコモ・スマートフォンを遠隔制御
まずは、通信事業者が提供するサービスから。NTTドコモの「スマートフォン遠隔制御サービス」だ。「紛失時対策」として遠隔ロック・初期化や個別データ削除、「不正利用の防止」のための発信先制限やアプリ利用制限などの機能を備えるほか、端末へのファイル配信やデバイス利用制限の一括設定といった「端末管理の効率化」を実現する機能も利用できる。
端末操作を遠隔でロックした状態。Android OSのバージョンや端末によってロック画面は異なる(左はOS2.1)。なお、ロック状態でも110番などの緊急電話発信のみは可能だ |
利用する企業の管理者は、ドコモデータセンター内の遠隔制御ASPサーバーにPCからアクセスし、下写真の管理画面から社員が使うスマートフォンを一括操作で制御できる。
管理者PCからブラウザ上で社員の端末を管理できる。端末の一覧から制御する端末を選び、一括あるいは個別に指示が出せる |
こうしたスマートフォン向けのセキュリティ対策ソリューションは、他の通信事業者やサードパーティベンダーからもさまざまなものがリリースされており、一見、機能も当然ながら似通っている。ドコモの本サービスの特徴としては、「遠隔制御にSMSを利用している点」(説明員)が挙げられる。他社のものでは、端末と管理サーバー間で定期的に通信し条件に合致した際にファイルの送受信や処理を行うポーリング方式が多いが、この場合、通信頻度が増えるため端末のバッテリーの持ちも悪くなるし、リアルタイム性も低くなる。
SMSを利用して制御指示を端末に“送りつける”ドコモの方式では、端末のバッテリーを無駄に消費することなく、また指示をリアルタイムに端末へと反映させることができる。制御指示を行った際に電波圏外にいた端末にも、圏内に戻った時点でSMSが届き指示が反映される。
ただし、課題もある。ドコモ以外のスマートフォンも混在して利用する企業では、通信事業者ごとに個別のサービスで管理せざるを得ない。「他キャリアとの一元管理を望まれるお客様も確かに多い」(説明員)のが現状だ。マルチキャリア環境での管理を効率化するためには、サードパーティ製のソリューションも有力な選択肢になるだろう。