NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2025年5月12日、プロ野球・西武ライオンズと共同で、音響XR技術を活用した野球観戦体験の実証実験を実施することを発表した。
実証実験のイメージ。装着しているイヤホンが「耳スピ」
従来、球場で完成しながらイヤホンで実況や解説を聞く場合、インナーイヤー型のために耳が塞がれ、現場の歓声や演出音が聞き取りづらくなる課題があった。また、同行者や周囲とのコミュニケーションを妨げる一因ともなっていた。今回の実証実験では、耳を塞がない構造の「耳スピ」イヤホンと、解説者の声が隣席から聞こえるかのように加工する音響XR技術を組み合わせ、こうした課題が解消できるかを検証する。
同実証実験は6月28日、ベルーナドームでの対北海道日本ハムファイターズ戦で行う。参加者は球場内で副音声解説をリアルタイムで聴きながら、通常通りの観戦環境や周囲との会話を楽しむ。ドーム球場特有の応援歌や音楽が鳴り響く環境下での実用性を確認し、体験後のアンケートを通じて本格導入に向けた課題を洗い出す。
実証は、NTT Comが企画・管理を担い、NTT研究所がPSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)技術を提供し、NTTソノリティが耳スピイヤホンを用意。NTT ExCパートナーは音響XR技術を活用した音響加工とリアルタイム配信システムを手掛ける。
NTT Comは、この実証を通じてスマートスタジアム構想の実現に向けた検証を進め、プロ野球における音響XR技術の社会実装を目指す。今後はスポーツ観戦にとどまらず、エンターテインメント分野への応用も視野に入れた展開を推進するという。
またこの取り組みは、NTT Comが進めるオープンイノベーションプログラム「ExTorch」の一環として実施される。