Microsoft Lyncで変わるリアルタイムコミュニケーション [第5回]日本ユニシスが語る「マイクロソフトの新UC基盤“Lync”はどこが進化したのか」

マイクロソフトの新しいユニファイドコミュニケーション(UC)基盤「Microsoft Lync 2010」を徹底解説する本連載。第5回は、古くからマイクロソフトのUCソリューションに深く関わってきた日本ユニシスの牧野陽一氏に、従来と比べてLyncはどこが進化したのかを聞いた。


――日本ユニシスは、Lyncの前身である
「Office Communications Server」(OCS)、「Live Communications Server」(LCS)の時代から、長年にわたりマイクロソフトのUCソリューションのインテグレーターとして活動してきました。その日本ユニシスから見て、新しく登場したLyncはどこが特に変わりましたか。

牧野 いくつか重要なポイントがありますが、まずWeb会議機能からいくと、OCS R2から継続された部分で映像がHD(High Definition)に対応していることは非常に大きい思います。性能の良いPCとWebカメラを用意し、プロジェクターでスクリーンに映し出すなどすれば、相当にハイクオリティなビデオ会議が簡単に行えるようになりました。

――従来の据置型のテレビ会議システムと比べても遜色ない画質で会議が行えるということですか。

牧野 そうです。しかも、据置型テレビ会議システムと比べるとだいぶ安価ですから、コストが理由でテレビ会議の導入を断念していた拠点にも展開していけます。また、ポリコム製など他社の据置型テレビ会議システムとの相互接続についても、間もなく正式にサポートされる予定です。据置型テレビ会議システムとLyncのWeb会議機能の連携については、多くのユーザー企業が視野に入れていますね。

日本ユニシス ICTサービス本部 サービスビジネス部 1グループ グループリーダの牧野陽一氏
日本ユニシス ICTサービス本部 サービスビジネス部 1グループ グループリーダの牧野陽一氏

――Web会議の利用スタイルには、大きく2つあります。会議室に集まって行うスタイルと、個々人が自席などから参加するスタイルです。日本の場合、やはり前者の会議室型の利用スタイルがほとんどなのですか。

牧野 いえ、そんなことはありません。両方ありますね。

ただ、日本の一般的なオフィス環境では周囲の目もあり、自席でWeb会議を行うのは、まだ馴染まないと思います。しかし、オフィススペースの端にパーティション等で区切った席や場所を設けることで、個人利用を促進できるでしょう。今までは電話機を片手にPCを操作することが多かったと思いますが、Web会議では、ヘッドセット等の音声デバイスを使うと両手が空きます。そうなるとPCをスムーズに操作できるので、会議の効率も格段に上がることになります。

ちなみにLyncのWeb会議で、ユーザー企業から高い評価を得ている点としてはもう1つ、クライアントソフトが完全に統合されたことも挙げられます。OCS時代は、IM・プレゼンスはOffice Communicator、Web会議はLive Meetingと、クライアントソフトが別々でした。それがLyncでは、クライアントソフトのLync 2010で、IMもWeb会議も行えるようになりました。

――実際に利用する従業員などからすると、だいぶ使い勝手は向上しそうですね。

牧野 エンドユーザーの方だけでなく、運用管理を行う情報システム部門の方からも歓迎されています。情報システム部門からすると、いろいろなモジュールを配布するのは、資産管理の問題もあって結構大変ですから。

また、会議に参加するだけであれば、Lyncのクライアントソフトがインストールされていなくても、会議の案内通知に張られたリンクをクリックするだけで会議参加者用のコンソールを無償ダウンロードできる仕組みになっています。このようにクライアントソフトの配布に関するハードルは、かなり下がりました。

――Lyncになってライセンス体系も変更されました。Web会議機能を利用するユーザー企業にとっては特に影響が大きいと思うのですが。

牧野 今までと比べると、かなり安くWeb会議を利用できるようになりましたね。OCSではWeb会議に参加する人全員が「Enterprise CAL」を購入する必要がありましたので、利用形態によっては結構高額になるケースがありました。しかし、Lyncでは会議を主催する人だけでよくなりましたから、導入コストは相当安くなっています。

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