「ホワイトスペース」はどんな新ビジネスを生み出すか?――先陣切るはエリアワンセグ!

いよいよ「ホワイトスペース」が実用化の段階に突入する。一体どのような新しいビジネスが登場するのだろうか。有力とみられるエリアワンセグ、IPDCの2つのビジネスモデルについて紹介する。

視聴率はなんと約70%――。

一般的なテレビ番組の常識からすれば、驚異的な視聴率が日本最高峰の4輪レース「フォーミュラ・ニッポン」のサーキット会場で叩き出された。携帯端末向けの地上デジタル放送であるワンセグの仕組みを使い、エリア限定で独自番組を放送する「エリアワンセグ」を活用したものだ。エリアワンセグは、限られた範囲にいる視聴者を対象にした、新しい形の放送サービスである。

フォーミュラ・ニッポンでのエリアワンセグ実証実験
ワンセグ対応の携帯電話を持っている人の約7割が視聴したという、フォーミュラ・ニッポンで行われたエリアワンセグの実証実験。エリアワンセグの事業性を実証する成功例の1つだ

エリアワンセグの試みは全国各地で行われているが、現在のところは実験局免許による、あくまで実証実験に過ぎない。しかしもうじき、正式な事業化に向けた道が開かれる見通しだ。総務省の「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」でホワイトスペース開放に向けた検討が着々と進んでいるからだ。

ホワイトスペースとは、ある目的のために割り当てられているが、時間的・地理的・技術的な条件によって、他の目的にも利用可能な周波数のこと。主として、使用されていないテレビ用周波数が想定されている。

総務省の調査によると、アナログ放送終了前の現時点でも、全国の相当な地域において、テレビ1~2チャンネル分の利用可能なホワイトスペースが存在していると考えられるそうだ。こうした未利用の周波数を有効利用し、地域活性化や新産業の創出などにつなげようというのが総務省の狙いである。

ホワイトスペースに対する期待は、国だけでなく、民間の間でも非常に高い。総務省は昨年12月11日から1月12日にかけて、ホワイトスペースの活用方策等に関する提案募集を実施したが、54者から103件もの提案が寄せられた。「冬休みが間にあったのに、こんなに多くの提案が来た」と、これにはホワイトスペース活用に意欲を燃やす内藤正光総務副大臣も驚いたという。

従来、電波を活用したビジネスやサービスが行えるのは、基本的には周波数割当を受けた放送事業者や携帯電話事業者といった一部の者に限られていた。しかし、ホワイトスペースが利用可能になれば、その“門戸”は大きく広がることになる。しかも、テレビに割り当てられている周波数は、伝播特性に優れた大変使い勝手の良い帯域である。ホワイトスペースの開放は、ワイヤレス関連ビジネスを大きく飛躍させる“起爆剤”として期待されているのだ。

月刊テレコミュニケーション2010年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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