企業ネットワーク最前線

IoTでため池の水位を遠隔監視――新ビジネス創出を目指す協和エクシオ

文◎小林秀雄(ITジャーナリスト) 2015.10.08

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協和エクシオは、メンテナンスが容易なため池の水位監視システムを開発した。同社は、従来からのICTのインフラ工事やソリューション事業に加え、次代の経営を支えるIoTビジネスに力を入れる。

 

長崎県五島市でため池の水位を遠隔監視するシステムが2015年1月に動き始めた。ため池の水位をセンサーが常時モニタリングし、無線通信を介してクラウドサーバーへセンシングデータを送る。水位が急激に変動すると農家で構成する水利組合や自治体などにアラートメールを送信する。それによって水門を開くなど、ため池の決壊を防ぐ対策をタイムリーに実行することが可能となる。

この「ため池遠隔水位監視システム」を開発したのは協和エクシオだ。同社は、五島市、山口県、香川県の3カ所でシステムの有効性を確認する実証実験を開始している。

ため池は降水量が少なく、水量が豊かな河川に恵まれない地域において農業用水を確保するために造成された人工の池で、全国に21万カ所存在している。近年多発しているゲリラ豪雨や大規模な地震によってため池が決壊し、周辺に被害をもたらす事態が生じている。それに伴い、ため池の様子を見に行った農家の人が豪雨に流されるといった事故も起きている。

また、漏水対策も重要なテーマだ。漏水はため池が決壊する前兆であり、早急に改修することが求められる。ため池の約70%は江戸時代以前につくられたもので老朽化が進行している。漏水を検知するためにこまめに点検・監視し、漏水対策を実施することが必要となる。

 

協和エクシオ
(右から)ICTソリューション事業本部ソリューション推進本部クラウド・セキュリティソリューション推進部門長の松浦寛氏、同推進本部クラウド・セキュリティソリューション部門課長代理の榊原知洋氏、同推進本部クラウド・セキュリティソリューション部門課長代理の神田敏宏氏


ICTを防災・減災に活かしたい「3.11以降、防災・減災対策が注目されるなか、ICTを防災・減災に適用できないかとサーベイしていた。その過程でため池の防災・減災対策は手つかずだということがわかった。2014年春ごろからため池の監視に力を入れないといけないと考えていた」。ため池遠隔水位監視システムの開発経緯について、協和エクシオICTソリューション事業本部ソリューション推進本部クラウド・セキュリティ推進部門長の松浦寛氏は語る。

同社は、ダムに水位計や地震計を設置するテレメータリングシステム工事に関する実績とノウハウを持つ。水位計や地震計はセンサーそのもの。同社は全国をカバーする施工能力、センサーを活用する能力、通信ネットワークを構築する能力、さらにICTソリューションを開発する能力を持つ。それらの能力を束ねることによって、ため池を遠隔で監視・管理する新たなソリューションを開発できると松浦氏は考えた。

その思いを後押しするトリガーとなったのは、ため池の監視・管理体制の強化に対して補助を行う事業を開始しようと農林水産省が予算化に向けて動きだしたことだ。同省は、ため池の安全性を担保する観点から堤を改修するなどの土木工事を対象に補助金を交付してきた。2015年度から土木工事に加えて、ため池の「監視」も補助の対象とすることにした。その情報をキャッチした同社はため池遠隔水位監視システムの開発に着手した。

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