M2Mイノベーションの時代[第4回]M2M向けに進化するSIMカードの最新動向 ~ソフトSIMとMIM~

M2Mがさらに発展していくうえで、実はSIMカードも重要なカギを握っている。今回は、ソフトSIMとMIMというM2M向けSIMカードの2つの注目の動きを紹介する。

M2M専用のSIMカード「MIM」とは?

こうした携帯電話事業者のビジネスモデルの都合もあって、ソフトSIMが技術的に可能になった以降も、SIMカードの物理的な提供は継続していくと考えられる。そこで、先に挙げた要件の(1)――SIMカードの耐久性と省電力性を高めていく取り組みも続いていく。

その一例として挙げられるのがM2M専用のSIMカードである「MIM(Machine Identification Module)」だ。SIMカードの大手メーカーであるジェムアルトでは、用途別に以下のようなMIM製品を用意している。マイナス40度~105℃といった広範囲な温度環境への対応や耐振動性などが強化されているのが特徴だ。

ジェムアルト社のMIM製品ラインナップ
ジェムアルト社のMIM製品ラインナップ。用途別に様々な製品が用意されている[クリックで拡大]

MIMを実際に搭載した製品としては、例えば「eCall」での利用が期待されている独コンチネンタル社の車載装置がある。

MIMを採用した独コンチネンタル社の車載装置
MIMを採用した独コンチネンタル社の車載装置

eCallとは、事故時の迅速な救助を目的にした車両緊急通報システムのことだ。事故が発生すると、車載の通信ユニットがGPS情報などをセンターに通知する。EUでは2015年10月から、すべての新車へのeCall搭載を義務付ける。本連載の第2回でGM社のOnStarを取り上げたが、同様のシステムをEUを挙げて義務化するのである。ロシアも自国のGPS衛星GLONASSを利用したロシア版eCall「ERA-GLONASS」を2015年から開始予定など、他の国・地域への波及も予想されている。

人命に関わるのだから、とにかく頑丈さは必須だ。独コンチネンタル社の車載装置は完全封止型で、一度搭載したMIMの取り出しは事故時以外は想定されていない。また、最低でも10年間稼働できるように設計されているという。

[連載目次]M2Mイノベーションの時代

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