――モバイルビデオ関連のサービスを開発する際、ダイアロジックの製品を使うメリットはどのあたりにありますか。
ケビン・クック ダイアロジックには長い歴史があり、これまでテキストやボイス、コーデック関連など、さまざまな分野にわたる優れた製品を提供してきました。こうした今まで培ってきた実績の上に、ビデオのソリューションを提供している点が他社との大きな違いといえます。そのため例えばダイアロジックであれば、スクリーンサイズやコーデックの変換が非常にスムーズに行えます。また、ビデオと音声を常に一体で扱うのではなく、分離しても扱えるため、柔軟なサービス開発が可能です。さらに、先ほどビデオ広告の例を紹介しましたが、広告クライアント向けにビデオの品質を担保するための仕組みも持っています。これらの利点により、モバイルビデオサービスの開発にかかる時間やコストを大幅に短縮できるのです。
コミュニケーションのTwitter化でSMS市場が拡大
――ダイアロジックでは、SMSを使ったサービス開発にも力を入れているそうですが、どういった理由からですか。
ジム・マッチ Twitterの流行が象徴するように、今、短いメッセージでコミュニケーションする文化が広がっています。こうした世の中の流れに合わせて、SMS市場もどんどん拡大しているから、というのがその理由です。2009年にやりとりされたSMSの数は5.5兆通でしたが、2014年には15.5兆通になると予測されています。
――SMSを使ったサービスというと、どんなものがあり得るのでしょうか。
ジム・マッチ 1つはビデオとの統合です。ビデオSMS、すなわちビデオを載せたMMSの数が増えていくでしょう。
SMSを活用した広告も増えていくと考えています。モバイルの特徴は、ロケーションサービスとの連携がとれることです。そのユーザーが今どこにいるかが分かるわけで、例えばあるレストランの近くにいるユーザーに対して、そのレストランの広告情報をSMSで送るといったモデルの検討が現在進んでいます。
広告モデルだけでなく、企業が顧客に対してプロアクティブにさまざまな通知をSMSで行う「エンタープライズSMS」というジャンルも伸びていくでしょう。ドイツテレコムではドイツの空港に降りた人たちに対して、同社のサービスを紹介するSMSを送信しています。
このほかSMSを使ったサービスとしては、ドイツのクリアログという会社のこんな例もあります。クリアログでは、モバイルアプリからタクシーを呼び出すと、自分の現在地がタクシー会社に自動で通知され、「何分後にタクシーが伺います」といった結果がSMSで送られてくるサービスを提供しています。
――最後にダイアロジックにおける日本市場の位置づけについて教えてください。
エーモン・カーン ダイアロジックでは、世界市場をいくつかのセグメントに分けて考えています。そのなかで、日本市場は洗練され、かつ成熟した市場というカテゴリーに入っています。このカテゴリーの特色は新しいサービスやビジネスモデルが生まれやすく、ここから始まったものが全世界に広がっていくということです。日本で始まった3Gやiモードが、まさにその例として挙げられるでしょう。
日本でビジネスを行うということは、そうした今後ワールドワイドに普及していく新しいサービスやビジネスモデルに対して、我々のポジションを確保していくということを意味します。ですから、日本市場はダイアロジックにとって、非常に重要な位置づけとなっているのです。