KDDIは2020年5月に策定した「KDDI Austainable Action」で、2050年度までにCO2排出量を実質ゼロとする目標を設定していた。
今回、その目標年度を2030年度に前倒しすると発表。2022年4月7日にオンライン説明会を開催し、KDDI 執行役員 コーポレート統括本部 副統括本部長 兼 サステナビリティ経営推進本部長の最勝寺奈苗氏がその具体策として、「基地局、通信局舎、データセンターの3つのカーボンニュートラル化を加速する」と話した。
カーボンニュートラル達成目標を一気に20年前倒しする
同氏によれば、KDDIは年間約100万トンのCO2を排出しており、そのうち「通信設備の電気使用に起因する割合は98%」にのぼる。これは、一般家庭の50万世帯分に相当し、5Gの普及でさらなる増加が見込まれるなか、省エネ施策と再生可能エネルギーの活用などを一層進める考えを示した。
KDDI 執行役員 コーポレート統括本部 副統括本部長
兼 サステナビリティ経営推進本部長の最勝寺奈苗氏(左)と、
執行役員 パーソナル事業本部 サービス統括本部
副統括本部長の中桐功一朗氏
“20年前倒し”に向けて省エネ技術を続々投入
20年もの目標前倒しには、この3月末に実施した「3G停波」も大きく寄与するという。加えて、ソフトバンクなどと進めている携帯電話基地局のシェアリングも省エネに貢献。再生エネルギーの活用も広げる。これらに加えて、パートナー企業と検証中の新技術を次々と投入する計画だ。
CO2排出量削減に向けた施策
基地局についてはノキアと、AI制御によって電力使用量を制御する技術の実証実験に着手。「Nokia AVA Energy Efficiency」と呼ぶ基地局AI制御技術により、季節変動等によるトラフィック量の変化を分析し、動的に電波の発射・停波を行うことで、電力使用量を最大50%削減できるという。
通信局舎に関しては、インテルとCO2排出削減に取り組む。AIを活用して「トラフィック量に応じて通信用サーバーを制御する試験を行った結果、国内で初めて、最大20%の削減を確認した」と最勝寺氏。2024年の商用導入を目指す。
データセンターの省電力化に向けては、三菱重工、NECネッツエスアイと共同で、液浸冷却装置の活用に取り組む。サーバー等の機器を直接液体冷媒に浸して冷却するもので、従来の空冷に比べてより少ない電力で冷却が可能。これも2023年頃の本格導入を目指すという。