ネットワーク自動化のApstraがエッジDCの集中管理に対応、IPファブリック移行の支援サービスも

IPファブリック構築・運用を自動化するインテントベースネットワーキングの「Apstra」。ここ1年で新規顧客が700%増とデータセンターネットワークで高い人気を誇るそのApstraが、最新ニーズを反映した2つのアップデートを発表した。同時に、IPファブリックへの移行をサポートする新サービスも開始する。

エッジデータセンターも集中管理
機能拡張の1つめは、「エッジデータセンターへの対応」だ。

サービスプロバイダーもエンタープライズも、エンドユーザーに近い場所でデータ処理を行うことでアプリケーションの遅延を最小化するという使い方へと移行しており、今回の機能拡張は、ネットワークエッジに分散配置されるエッジデータセンターのネットワークを効率的に一元管理できるようにするのが目的だ。

Apstraはこれまで大規模データセンターを主なターゲットとしてきたが、今回の拡張により「数台のサーバー環境にも対応できる」(塚本氏)ようになる。GUIで操作した内容に基づいてコンフィグを作成し、流し込み、稼働後も継続して状態変化を自動的に監視するApstraのオペレーションが、こうした小規模データセンターにも導入できる。

エッジデータセンターの管理と、複数データセンターの集約型管理に対応
エッジデータセンターの管理と、複数データセンターの集約型管理に対応

加えて、大規模データセンターからエッジデータセンターまで統合的に管理する「コラプス型(集約型)」の運用も可能になった。分散するエッジデータセンターのネットワークを集中管理し、「運用担当者が意図した通りの状態を保っているのか、正常性を継続的に把握できる」(塚本氏)。

データセンターネットワーク全体をゼロトラストに
2つめは、セキュリティ関連の機能拡張だ。マルチベンダー構成のネットワークに対して一貫したセキュリティポリシーを実行し、継続的に検証を行う「ポリシー保証」である。

2つめの機能拡張「ポリシー保証」の概要
2つめの機能拡張「ポリシー保証」の概要

複数ベンダーの製品でネットワークを構築している場合、通常であれば、デバイス単位でポリシーを管理する必要があり、これが信頼性の低下や運用の複雑さを招く原因となっていた。

対して、Apstraの最新バージョンでは、「ポリシーを抽象化することができる。マルチベンダー構成のネットワーク全体で統一されたポリシーを設定・管理し、ワークロードを保護したり、トラフィックセグメンテーションを実行したり、ポリシーと矛盾している箇所を発見したりできる」(塚本氏)。運用の効率化と信頼性の向上を両立することができる。

ジュニパーは、Experience First Networkingの1要素として、最新のセキュリティ対策が施された「ゼロトラストデータセンター」の実現を掲げている。今回拡張された「ポリシー保証」は、その柱の1つとなる機能だ。

IPファブリックへの移行をプロ集団がサポート
これら2つの機能拡張と合わせて、ジュニパーは、自動化を推進したいユーザーをサポートする「Apstraプロフェッショナルサービス」の提供も開始する。

データセンターの中には、IPファブリックへの移行もままならず、旧態依然の環境のまま運用負荷の増大と柔軟性の欠如に悩まされているケースも少なくない。「既存環境からマイグレーションしたいというニーズは多いが、負担も大きいので踏み切れない」(塚本氏)現状を打破するため、ジュニパーのエンジニアがIPファブリックへの移行と自動化を支援するのが本サービスの目的だ。

Apstraプロフェッショナルサービスの概要
Apstraプロフェッショナルサービスの概要

上図表の通り、ユーザーの意向や要望に柔軟に対応しながら、自動運用が可能なデータセンターネットワークへの移行をサポートする。レガシーネットワークの隣にApstraネットワークを作って段階的に移行する「サイドバイサイド移行パッケージ」をはじめ、様々な形態に対応が可能だ。

これからIPファブリックへの移行と自動化へのスタートを切るユーザーの支援も手厚くすることで、データセンターネットワークのモダナイズを後押ししようとしている。

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