富士通が5G SA対応の仮想化基地局、総CO2排出量を50%以上削減へ

富士通は、5G SAに対応し、O-RAN仕様に準拠した基地局を3月より提供開始する。独自技術を用いることで、従来の基地局と比べて、システム全体の総CO2排出量が削減され、環境への負荷が低減される。大手通信事業者だけでなく、新興事業者やローカル5G事業者にも提供する。

富士通は2022年2月24日、基地局に関する説明会を開催した。

5G SAに対応し、ソフトウェアにより仮想化した基地局(以下、5G仮想化基地局)を開発、通信事業者向けに検証用としての提供を3月より開始する。

5G仮想化基地局は、汎用サーバー上にネットワーク信号を高速処理するアクセラレーターカードを実装しており、汎用CPUが苦手とする演算をオフロードさせることで高性能化を実現できるという。

このアクセラレータカードに搭載するソフトウェアの制御方式の改善によりキャパシティを拡大、通信速度の高速化を図るとともに、RU(無線子局)の収容率を従来の2倍から4倍にすることが可能だ。

また、AIで将来の通信量の変動を予測し設備単体を最適化。そのうえで、富士通独自の量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」を用いることで、多数の基地局の電波が重なる環境下での無線子局と仮想化基地局(CU/DU)の組み合わせの中から最適な接続先を高速で導き出し、最適な演算リソースの配分を可能にする。これにより、同一地域全体での最適な接続構成を導き出すことができる。

独自技術の組み合わせで消費電力を削減

さらに、「ダイナミックリソースアロケーション」技術により、地域や時間帯で変化する基地局の利用状況に合わせて、運用に必要なサーバーの演算リソースを柔軟に変更することで余剰なリソースを削減し、消費電力を低減する。これまでは基地局単位で無線装置を割り当て、消費電力を最適化していた。これに対し、「複数の基地局を『群』と捉え、最適なリソースを割り当てることで群全体の消費電力を削減することが可能」と理事 モバイルシステム事業本部長の谷口正樹氏は説明した。

これらの技術により、専用ハードウェアを用いた従来の基地局と比べて、2025年にシステム全体の総CO2排出量を50%以上削減することを目標としている。

2025年に従来比50%以上のCO2削減を目標に掲げる

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