AGV制御の「あと2つの課題」
工場内でのAGV活用には、前述した「障害物検知と迂回路選定の効率化」以外にもあと2つ、解決しなければならない課題がある。NECの新井氏が指摘するのが「マルチベンダー対応」と「業務システムとの連携」だ。
AGV等のロボット導入・活用は今後さらに加速していくと見られるが、それに伴って、工場内には様々なベンダーのAGV/ロボットが共存していくことになる。その際、ベンダーごとに管理・制御システムが異なれば、運用は複雑化する。メーカーをまたがって集中制御できる基盤が求められる。
また、工場全体の効率化、生産効率の向上には、「生産管理等の業務システムとAGVの高度な連携も必要だ」(新井氏)。NEC MRCは、前ページで述べた「最適経路生成」機能のほか、この2つの課題を解決する機能も備えている。
NEC MRCは、制御モジュールを追加することで複数タイプのAGVをサポートできる。また、業務アプリケーションや生産システムと連携するための「上位システム向けAPI」も用意。業務システムと連動したAGVの管理・制御を可能にしている。
こうした仕組みを持つNEC MRCとAGVを、高速・大容量、低遅延・高信頼通信という特徴を持つローカル5Gでつなぐことにより、大量かつ多様なAGVが連動する協調制御を可能にしようというのが、NECとコニカミノルタの狙いだ。
AGV自動制御システムの全体像
「複数拠点をリアルタイムに連携制御することも可能」(岸氏)であり、100台以上のAGVの協調制御にも対応できるという。今後、コニカミノルタとNECの生産現場に導入して検証を進めるほか、IGOCで展示公開を行うことで新たなパートナーの獲得も狙う。