ソリューションビジネス部は、第一から第三までの法人営業部に寄せられるすべての案件についてソリューション提案・開発を一手に引き受け、ドコモの法人ビジネスの技術開発・支援を推進する部署だ。
ソリューションビジネス部部長の中西雅之氏は、「ソリューションの提案からシステム納入、保守・運用までワンストップでできる体制になっている」と話す。ソリーション提案・開発だけでなく、端末からネットワークサービス、保守・運用と幅広く部隊を持つのが特徴だ。
NTTドコモ 法人事業部 ソリューションビジネス部長 中西雅之氏 |
ドコモの法人事業部では、携帯電話法人市場の状況に合わせてたびたび組織の見直しが行われてきているが、ソリューションビジネス部は立ち上げ当初から技術開発の役割を担っている。ただし、各企業のモバイル利用は企業内電話システムを中心とした状況から、リモートアクセスによる業務効率化、コスト削減、企業活動支援へと変化しており、開発や支援内容も大きく変化している。
ソリューションビジネス部も、「企業を伸ばすモバイル」という基本軸から離れることはできない。そのための特徴として、先述のようにシステム構築における企画、設計などのいわゆる上流工程から、運用・保守まですべてカバーしている。範囲は極めて広く、端末担当、ネットワークサービス担当、ソリューション担当、メンテナンス担当、データセンター担当にまで広がる。企業ユーザーの日々のサービス状況・端末の管理業務なども行うという。従って、法人事業部内でも4割程の人員構成比となっている。
法人向けソリューション開発の難しさは、顧客の要望を徹底して聞くという側面と、ビジネスとしてのコストとの兼ね合いが必要という側面とを両立させるという点だ。
大企業向けソリューションの場合、多くは個別の顧客の要望に合わせたシステム開発を手掛けることになる。当然、納期までの開発効率化が最大の課題となる。
一方、中小企業については、企業ごとに個別システムを開発するということは難しいので、既存のシステムやソリューションをいわばレディメイドとして納入したり一部をカスタマイズすることになる。
中小向けにASPサービス
2005年からは「ドコモ・プロスパート・プログラム」も提供している。これは、ベンダー各社が開発したソリューションの中からドコモが販売や運用実績を基に審査を行い、合格した商品をドコモの販売チャネルで取り扱うもので、「すぐにソリューションを導入したい」という企業に好評だという。
また今年8月には、新しい仕組みを導入した。「モバイルマーケティングASPサービス」だ。従来、顧客企業のBtoBtoCシステム構築では、ドコモが企業ごとにサーバーを構築したり、個別に機能を提供してきた。しかし、Web管理や顧客管理、配信システムなど共通部分も少なくない。モバイルマーケティングASPサービスではそれらをASPとして提供し、要望があれば一部改良することで、納期の短縮とコスト削減を実現する。中西氏は「これはモバイルマーケティングの分野だが、従来がオーダーメイド型なら、このASPサービスはパターンメイド」と洋服にたとえて説明する。