ソラコムがiSIMを推す理由 通信モジュールとSIM機能をワンチップに統合

ソラコムは2022年春にもiSIMを商用化する。通信モジュールとSIMをSoCに集約することで省スペース化やコスト削減などを実現するiSIMは、IoT端末やスマートフォンへの搭載が進みそうだ。

スマートフォンをはじめとするモバイル端末に欠かせないSIM(Subscriber Identity Module)。最近、カード型から埋め込み型のeSIM(embedded SIM)への移行が進んでいるが、さらにeSIMの進化形であるiSIMの実用化も視野に入ってきた。

integrated SIMの略称であるiSIMはGSMAで標準化された仕様であり、通信モジュールとSIMの機能を1枚のセルラーSoC(System on a Chip)に集約する技術規格だ。

SIM/eSIMは、独立したモジュールであるセキュアIC上に専用の物理インターフェース(ISO7816)を実装したうえでSIM OSなどを搭載し、ハードウェアとその中のソフトウェアの両面で耐タンパ性能(外部からの内部構造解析やデータの不正読み取り/改ざんが困難な性質)を確保している。

一方、iSIMは、独立したモジュールを用いることなく、セルラーSoC内の耐タンパ性能を持ったセキュアな物理領域(TRE:Tamper Resistant Element)にSIM OSを搭載することで、従来のSIM/eSIMと同等のセキュリティレベルを担保することができる(図表1)。

図表1 iSIM(integrated SIM)とは

図表1 iSIM(integrated SIM)とは

このiSIMは2018年、英ArmがIoT向けSIMソリューションの1つとして開発・提案したのを契機に一躍知られるようになった。英ボーダフォンと独バイエルが医薬IoTでの利用を発表しているほか、米AT&Tや米スプリントなど各国の大手キャリアがiSIMの採用検討や技術的な支持を表明している。

国内でiSIMに積極的に取り組むのはソラコムだ。

今年6月に開催した年次イベント「SORACOM Discovery 2021 ONLINE」の基調講演で玉川憲社長は、ソニーセミコンダクタイスラエル(以下、ソニー)、Arm傘下のKigenとともにiSIMの実証実験を行ったと語った。

実証実験では、ソニーが提供するセルラーIoT向けチップセット「Altair ALT1250」の評価ボード内にハードウェア的にセキュアな領域を確保し、KigenのiSIM向けOS上にソラコムのキャリアプロファイルの書き込みを実施。SIM/eSIMと同様の動作性とソラコムプラットフォームへのセキュアな接続を確認したという。

月刊テレコミュニケーション2021年9月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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