韓国でもローカル5Gが解禁されることが決まった。2021年1月26日、5Gの進捗状況管理と今後の方向を決定する役割を担う官民合同の「5G+戦略委員会」が開かれ、2021年の5G重点推進政策の1つとしてローカル5Gの解禁を発表したのだ。まず28GHz帯の600MHz幅を割り当て、その後、サブ6帯を追加で確保する予定だ。
韓国キャリアも想定外実は韓国において、セルラーネットワーク技術とその周波数が自営網へ開放されるのは、異例のことである。「韓国にはキャリアへのお任せ文化がある」とマルチメディア振興センター(FMMC) ICTリサーチ&コンサルティング部 シニア・リサーチディレクターの三澤かおり氏は話す。
マルチメディア振興センター(FMMC) ICTリサーチ&コンサルティング部
シニア・リサーチディレクター 三澤かおり氏
日本ではローカル5G以前から、地域BWAや自営PHSなど、セルラーネットワーク技術を使った自営網が認められていた。しかし韓国にこうした制度は従来なく、企業や自治体が4G/LTEや5Gなどのセルラーネットワークを特定エリアに構築したい場合には、キャリアに相談して導入してもらう必要があった。「例えば5Gを敷地に通したい学校や工場でも、キャリアに相談してソリューションとセットで構築してもらうような形が多い」と三澤氏は説明する。
そうした仕組みが長らく続いていたため、韓国では自営網を構築しようという発想そのものが希薄だという。「2019年に韓国のキャリアの人たちと話した時、ローカル5Gが日本で解禁されると言うとみんな一様に目を丸くしていた。一般企業にはネットワークのノウハウもないのに大丈夫なのか、基地局も高いのに、と心配する人もいたほどだ。ローカル5Gの解禁は韓国のキャリアにとっても想定外のことだったはず」と三澤氏は語る。
韓国でローカル5Gが解禁されたのはなぜか。
背景には韓国政府の想定より、5GがB2B領域で広まっていないことへの危機感がある。
現状では5Gを導入している組織は公共系や、財閥系の大手企業が多く、中小企業などには広まっていない。「スマートフォン以外の対応デバイスがあまり出ていないこともあり、現状は4Gで十分と考える企業が多い」と三澤氏は指摘する。
特に、28GHz帯の活用が進んでいない。「韓国では28GHz帯の活用がかなり遅れており、昨年末にようやく実証事業で使われ始めた。28GHz帯の活用を進めるため、キャリア以外にも、意欲やアイデアのある企業に参入してもらいたいという目的がある」