[特集]シン・ネットワークコンバージェンス(第4回)ホームNWと企業NWは融合する オフィスをどこにでも「拡張」

在宅勤務においては、VPNによるリモートアクセスだけでは不便も多い。そこで、より積極的に従業員のネットワーク環境を整える企業が増えている。今後ホームネットワークと企業ネットワークは融合していく。

あなたの会社は「テレワーク手当」を支給しているだろうか?

コロナ禍で在宅勤務は広く普及した。多くのユーザーが自宅のインターネット環境からVPNなどを利用して社内のリソースにアクセスしていることだろう。そのため最近、従業員にテレワーク手当を支給し始めた企業も増えている。業務に使用した自宅の電話やインターネット利用料、電気代などの費用の一部を支給するものだ。国税庁もこうした企業の動きを受け、2021年1月15日に在宅勤務を行った社員の通信費について、所得税上の取り扱いのルールをまとめて公表した。在宅勤務をした日数に応じて通信費の一部を所得税の課税対象から外せるようになっている。

自宅をオフィスにさらに、手当を払うだけでなく、企業側で積極的に従業員の自宅ネットワーク環境を整えようとする動きも出ている。ホームネットワークと企業ネットワークを一体化させるソリューションの導入が一部の企業で始まっているのだ。

HPE Arubaでは従業員の在宅勤務環境向けのソリューション「RAP(Remote Access Point)」を提供している。RAPは、社内ネットワークのコントローラーと接続設定を済ませておいた同社の法人向けアクセスポイント(AP)で構成され、このAPを従業員の自宅などに設置することで、職場と同質のネットワーク環境を任意の場所に展開可能になる(図表)。

「オフィスの自席のネットワークを、任意の場所まで引っ張ってくるイメージだ。従業員の視点では、自宅のインターネット用のケーブルをAPのポートに挿すだけで利用できる」と日本ヒューレット・パッカード Aruba事業統括本部の安原一順氏は説明する。

図表 リモートワークソリューションの比較
図表 リモートワークソリューションの比較

RAPに対応した法人向けAPは、自動でIPSec-VPNを確立する機能を持っており、インターネット回線を利用して自宅から本社や拠点の間に自動でトンネルを構築する。社内のセキュリティポリシーの設定などもそのまま適用した上で、企業リソースにアクセスさせられる。

RAPへの引き合いはこの1年で「かなり増えた」と安原氏は明かすが、多くの企業が利点と感じている点が、その導入のしやすさである。

わざわざ従業員にAPを配布せずとも、VPN用のエージェントソフトを端末にインストールすれば、社内環境にリモートアクセスさせられる。実際、HPE ArubaはリモートアクセスVPNソリューションの「VIA」も提供しており、こちらの採用も多いようだ。

しかし実際に多くの従業員がVPN用エージェントでリモートアクセスし始めると、いくらマニュアルを整備していても、IT部門には従業員からのトラブル対応の要請が多数舞い込む。オフィスで働く従業員の場合と違って、在宅勤務の従業員をサポートするのは難しい。その点、LANケーブルをAPに挿すだけならトラブルは起きにくい。

また、一般的に法人向けAPはコンシューマー向けよりも安定した無線環境を構築できる。加えて、「WindowsやAndroidなどメジャーなOSであればVPNソフトは対応していると思うが、それ以外のOSで動くIoT機器などを利用している業務では社内ネットワークにアクセスできなくなってしまう。そういったユーザーにもRAPが適している」と安原氏は指摘する。

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