「5Gが遠い存在として受け止められるケースがある」。NTTドコモ 5G・IoTビジネス部 担当部長 5Gマスター/エバンジェリストの有田浩之氏は、企業の5Gに対する認識の現状をこう説明する。
NTTドコモ 5G・IoTビジネス部 担当部長 5Gマスター/エバンジェリスト 有田浩之氏
それによると、顧客企業に5Gの提案を行うと、高速大容量・低遅延・多数同時接続という特徴は理解していても、「LTEと何が違うのか」「5Gで何をすればいいのか分からない」など基本的なところで話が止まってしまうことが少なくないという。
このままでは、企業の課題解決や地域活性化のツールとして5Gがなかなか浸透していかないのではないか――。強い危機感の下でドコモは2020年11月、法人営業部門における新たな資格制度「5Gマスター」を発足させた。
5Gマスターは、顧客企業が直面している課題をヒアリングし、5Gの活用を通じて解決をサポートする人材だ。
本社および全国の支社・支店の法人営業部門の営業担当者が対象で、上長の推薦や研修などにより、5Gに関する一定レベルの知識を有し、なおかつコンサルティング能力を持ち合わせていると認定されると、5Gマスターの資格が与えられる。2020年12月現在、30~50代を中心に約120名が登録されているという。
5Gマスターの半数強は本社、残りは各地の支社・支店に所属している。顧客企業のもとに出向いて5Gの概要を説明したり、パートナー企業の要望に応じて5Gに関する勉強会を開催するのが現在の主な活動だ。名刺にも記載しており、「『5Gマスターとは何ですか?』と興味を持っていただいたのをきっかけに話が前に進んだり、役割が明確になることで信頼していただけるなど、営業活動にプラスに作用している」(有田氏)と手応えを感じている。