トップの情報発信が必要
社内マイクロブログに対する企業の関心はかなり高い。
例えば2010年2月に行われたITメディアリサーチインタラクティブとITRの共同調査によれば、21.4%の企業が「Twitter/社内Twitter(社内マイクロブログ)」を利用したい意向を示している。
ただ、社内マイクロブログの導入を成功させるためには、運用面での工夫が求められる。多数の社員が参加しやすいといっても、自然と情報が行き交うようになることは期待できない。多くの社員は社内マイクロブログなど会社のコラボレーションツール上で発言することに慣れていないからだ。先述のカーディーラーのケースのように、経営者が率先して書き込むことが定着させるカギとなる。
企業のインターネット利用支援を事業とするグランドデザイン&カンパニー社長の小川和也氏は、「ボトムアップ的なソーシャルメディアと違って企業内のコラボレーションツールはトップダウンで経営者が情報を発信していくことが必要」と指摘する。トップが主導して自社のカルチャーに合う活用法を模索するなかで、ノウハウを蓄積していくことがコラボレーションツールの活用を成功に導く基本。それは社内マイクロブログにも共通する。
継続的に社内マイクロブログの活用をサポートする人材の配置も求められる。例えば、社員が質問を投げかけても、反応が得られなければ、質問をすることはなくなるだろう。立ち上げ当初は、多くの社員のつぶやきをフォローし、誰かが質問したら、その質問に答えられる社員に働きかけて答えを返してもらうといった「モデレーターが必要」(セールスフォースの榎氏)。冒頭のエピソードのように、経営者が社員のコミュニケーション意欲をかき立る情熱も大切だ。
社内マイクロブログはSIerに新しいビジネス機会をもたらす可能性ももつ。日立ソフトウェアエンジニアリングが2010年7月にLotus NotesとChatterを連携・統合させるサービスに乗り出したのがその一例だ。
社内マイクロブログは登場したばかりで発展途上の段階。技術も進化するだろう。今後、グループウェアや社内SNSなど既存コラボレーションツールとの融合だけでなく、セールスフォースに見られるように業務アプリケーションとの連携など、応用範囲が広がっていきそうだ。