商談成立もアシスト
商談などビジネスそのものも支援する。実際、Chatterが商談成立に貢献した例があるとセールスフォース・ドットコム執行役員の榎隆司氏は明かす。それはこんな具合だった。
ある商談の最中に、顧客が疑問を提示した。その疑問が解消されれば、その場で契約が成立する可能性が高かったという。そこでその営業マンはスマートフォンから、顧客の疑問を解消する答えが欲しいとChatterで呼びかけた。すると、「4分間のうちに20人から返事が寄せられ、商談が成立した」(榎氏)という。
このケースは、社員の持つ知恵を瞬時に結集し、課題を素早く解決するためのツールとして、社内マイクロブログが有効であることを示している。社内マイクロブログは、ナレッジマネジメントのツールにもなるのだ。しかし、「ナレッジマネジメントに取り組もう」と大上段に構える必要はもちろんない。
社内コミュニケーションツールは日常的な報告・連絡・相談に使われることが普通だ。だが、「文章を書くのは面倒」という社員は少なくない。短い文章入力で済む社内マイクロブログは面倒さを取り除くので、日常的に情報を共有するのに向く。
例えば、モディファイのSMART4Bを利用しているカーディーラーの経営者は、こんな仕組みを作っているという。売れ筋の車種に関する情報や店舗の営業成績を社内マイクロブログに書き込んで営業所長に伝達し、その情報を受けた営業所長は自分の部下にその内容を伝達するというものだ。店舗の社員は、自店という枠を超え、全社的な売れ筋情報に日常的に触れることができる。
組織に一体感をもたらすのにも役立つ。モディファイ社長の小川浩氏はSMART4Bを自身のビジョンを社員に伝達する道具として活用している。同社は十数名の企業だが、社員と直接顔を合わせてコミュニケーションする時間を多く取ることは困難。文章表現に頼らざるを得ない。ブロガーとしてWebにさまざまな記事を書いている小川氏は、書いた記事のリンクを社内マイクロブログに投稿しており、社員はPCやモバイル機器からいつでも社長のビジョンや思いに触れることができるという。小川氏は「社内の血流を良くすることができる」と語る。
企業のコラボレーションツールとして見た場合、社内マイクロブログに課題がないわけではない。例えば、次々と最新の情報に置き換わっていくために、「重要な情報が見逃される可能性が高い」(小川氏)ことだ。そこでモディファイは、指定した情報を常にトップにとどめておく機能を用意する計画である。また、短文では伝えきれない情報を書き込みたいというニーズがあると見て、ある程度の長文入力ができるようにすることも考えているという。
図表 社内マイクロブログの特性 |