企業のIoT利用率や具体的なユースケースなど市場の概況を調査する「IoT利用企業動向調査」と、企業の中で自身の業務の1割以上をIoTに充てるIoT担当者の課題などを調べる「IoT担当者深堀調査」という2つの項目で行われた。
IoT利用動向の調査結果 |
IoT担当者深堀調査では、IoTの取り組みを開始してから4~5年経過していても、その半数以上は未だにPoC(Proof of Concept)以前の取り組みフェーズにあることが分かった。IoTソリューションを提供するベンダーはそうした企業を本番フェーズに引き上げるべく、なんらかの方策を見出さねばならないと言える。
IoT担当者からの回答を分析したところ、課題は大きく3つあった。1つめがIoT関連人材の不足やIoTを実現する上での技術面における知見が不足していること。2つめにビジネス現場のIoTに対する理解が不足している、あるいは社内外のIoTに関わる組織間連携が難しいという回答が多かったという。3つめはIoTの収益性が見通せないことや予算不足、経営層の理解不足だ。
IDCJapan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は「IoTを推進する人材とDXを推進する人材の双方には類似したハードスキルが求められており、IoTはDXを実現する上での不可欠な要素として市場に認識されつつある。IoT技術者の育成がDXの普及に向けて必須と考えられる」と言う。そして「IoTを本番フェーズで利用する企業では、業務プロセスのスピード、データの種類/量、デジタル人材の割合、パートナーの数、デジタルサービスの数、データに対する投資のリターンなどをKPIとして重視する点が特徴的である。IoTの取り組みフェーズに合わせた柔軟なKPIの設定が不可欠になる」と述べている。