災害復旧現場や各種工事現場において、昨今急速に広まりつつあるのが「無人化施工」である。これは建設機械およびその周辺に設置したカメラの映像を見つつ、建設機械(建機)を遠隔操作するというものだ。特に災害復旧工事や鉱山など、危険が伴う場所での作業において無人化施工に対する期待は大きい。
この無人化施工を実現する上で重要なポイントの1つとなっているのが、カメラ映像や建機をコントロールするための信号を伝送する無線技術である。
具体的な手段として考えられるのが無線LAN(Wi-Fi)だ。しかし無人化施工で利用することを考えた場合、無線LANにはいくつかの課題がある。その1つが通信距離だ。無線LANで電波が届くのは数十mからせいぜい100m程度であり、できるだけ離れた場所から遠隔操作したいというニーズに応えることが難しい。
もちろん、中継器の設置や、複数台のアクセスポイントを使ってメッシュ化することにより、無線LANで接続できる距離を伸ばすことは可能だ。しかし、この場合はシステムの複雑化やコスト負担の増大が問題となる。さらにメッシュ接続では、ハンドオーバーの問題にも対処しなければならない。アクセスポイント切り替え時に映像が途切れるようなことがあれば、円滑に作業を進められないためだ。
干渉も無線LANにおける大きな課題だ。ビルなどの屋内だけでなく、屋外であっても数多くの公衆無線LANが設置されている現在、干渉を避けて無線LANを使うことは極めて難しい。干渉が発生すれば通信速度が低下するため、特にリアルタイムの映像伝送で大きな支障が生じる恐れがある。
モバイルキャリアが提供するLTE回線を用いて、カメラ映像や建機を操作する信号を伝送することも考えられる。ただ、LTEで問題となるのは上りの通信速度だ。LTEは下りは高速だが、上りは数十Mbpsがせいぜいである。このため、建機の操作で求められる、高精細な映像の伝送に向いているとは言い難い。
また、無人化施工を行う場所によっては、通信エリア外であったり、十分な電波強度が得られないといったことが起こりえるのも問題だ。将来的には5G/ローカル5Gも選択肢に入ると思われるが、現時点ではほとんど実績もなく、無人化施工に向いているかを判断することは難しい。
このように既存の無線技術を無人化施工に適用することを考えた場合、さまざまな課題があるのが実情である。これらの課題を解決できるものとして注目を集めているのが、RADWINの移動体向け大容量無線接続ソリューションである「FiberinMotion」だ。