総務省は1月27日、「Beyond 5G推進戦略懇談会」の第1回会合を開催した。
1G以降、移動通信システムはほぼ10年サイクルで世代交代を繰り返してきた。5Gの次の規格であるBeyond5G(6G)は、従来通りのペースで行けば2030年頃に導入される見込みである。5Gの商用サービスが始まるタイミングで、総務省が次世代規格に関する検討を開始するのは異例のことだが、早すぎるわけではない。
海外でも一斉に6Gに向けた動きが加速し始めている。
例えば米国では2019年2月にトランプ大統領が6Gへの取り組み強化についてツイート。翌月にはFCC(米連邦通信委員会)がテラヘルツ波の研究用途への開放を決定した。ニューヨーク大学は、DARPA(米国国防高等研究計画局)などが新設したテラヘルツ波とセンサー技術の研究拠点で6Gの共同研究に着手している。
また、中国では科学技術部(MOST)が2019年11月に6Gの研究開発の開始を発表、併せて2つの組織を立ち上げた。
サムスン電子やLG電子、ファーウェイといったメーカー各社も研究組織を設立し、6Gの基礎研究に取り組んでいる。
「各国で6Gに関する議論が始まっており、我々としてもこのタイミングでBeyond 5Gに向けて何をすべきかを検討する必要があると考えた」と総務省 総合通信基盤局 電波部 電波政策課 企画官の片桐義博氏は話す。
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波政策課 企画官 片桐義博氏
日本は5Gで標準化や技術開発に出遅れ、海外勢に主導権を奪われた。その反省に立ち、6Gではニーズや技術進歩を踏まえた総合戦略を早期に策定し、国際標準策定プロセスに深く関与しようという狙いがある。