IoT普及の足枷は設置コスト 通信工事業界のDXに挑むベイシス

「IoT普及の足枷の1つとなっているのが、IoT機器の設置コストの高さ。従来の通信工事業界は、非効率な部分が大変多く、高コストだ。テクノロジーの力で通信工事業界のやり方を変え、皆がハッピーになる世界を作りたい」

ベイシス 代表取締役社長の吉村公孝氏はこう意気込む。

ベイシス 代表取締役社長の吉村公孝氏
ベイシス 代表取締役社長の吉村公孝氏。東京本社のほか、札幌、仙台、大阪、広島、福岡に拠点を構える。
社員数は298名(2019年10月時点)、2019年6月期の売上高は30.9億円。インフラ構築・運用のノウハウと、
AIやRPA等のテクノロジーによって、通信インフラ業界のDXを推進し変革する「インフラテック事業」を標榜する

毎日1000件の工事ベイシスは吉村氏が2000年に広島で創業した通信インフラの構築・運用保守会社である。携帯電話基地局の電波調査や最適化から事業をスタートし、その後、全国展開する過程で、小型化した基地局等の設置工事や運用保守などへとビジネスを拡大してきた。

ベイシスが、AIやRPAなどを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み始めたのは、スマートメーターをはじめとするIoTインフラビジネスが本格化してきた数年前のことだ。

「IoTの場合、設置する機器は小さいが、莫大な数がある。『短期間でいろいろなエリアに設置してほしい』という案件が非常に多い」

例えば、同社が2018年に交換工事したスマートメーターの台数は約30万台にものぼる。協力会社とともに、毎日1000件近くのスマートメーター交換工事を行ってきた。

これだけの数の工事を滞りなく管理する手間は並大抵ではない。しかも、1件当たりの単価は安いのが、IoT案件の特徴だ。IoT時代には、設置工事のDXも必要だった。

そこでベイシスは独自のクラウド型現場管理システム「BLAS」を自社開発した。

AIを活用した画像認識、RPAによる各種作業の自動化、進捗状況のクラウド上での一元管理などを実現することで、協力会社の現地作業員の事務作業はもちろん、管理作業も大幅に効率化。ベイシスにおけるスマートメーター交換工事の管理体制は、かつての4課体制から2課体制に縮小し、必要な人員も3分の1にできたという。

「電話だ、FAXだ、エクセルだ、とアナログな工程管理を行っている会社が多いなか、我々は全部自動化しているのが強み。『大手通建に見積もりを取ったが、単価が高過ぎて採算が合わなかった』とお困りのIoTサービス事業者からの問い合わせがどんどん増えている」

月刊テレコミュニケーション2020年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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