SD-WANは物理ネットワークの構成を気にせずに、ソフトウェア定義型のWANを使うことができるサービスだ。その意味では、物理サーバーの設置・運用を考えずに済むクラウドと似た側面を持っている。
ただし、ユーザーは拠点に設置するエッジ装置や物理回線の調達・管理が必要になるため、かえって運用負荷が高まるケースもある。クラウドのように手軽には使えないものも少なくない。
そうしたなか、まさにクラウドのようにシンプルに使えるSD-WANを提供することを追求しているベンダーがある。米Aryaka(アリアカ)だ。
グローバルなコアネットワークとエッジで提供する独自スタイル「Aryaka Global SD-WAN」の最大の特徴は、Aryakaが自前のグローバルネットワークを持っている点にある。ユーザーは自らの拠点から、接続点(POP)にインターネットVPN等(接続方法は選択可能)で接続するだけで高機能かつセキュアなSD-WANが利用できる(図表)。
図表 Aryaka Global SD-WANの構成イメージ
コアとなるSD-WANソリューションが、「Aryaka SmartConnect」だ。上記のように最寄りのPOPに接続するだけで、通信の可視化や最適化、WAN高速化等の恩恵を手にできる。
各拠点とPOPを結ぶラストマイル回線の手配まで一括してAryakaに依頼することも可能だ。この場合、Aryakaは、拠点ごとに回線契約から開通後の運用まで含めたパートナーとして動いてくれる。ラストマイル回線の使用料を、SD-WANの使用料に含めることも可能だ。
海外拠点を展開する企業にとって、これは大きなメリットだ。国ごとに通信キャリアを探し、複数の契約や支払を管理する手間がなくなる。まさにクラウドのようにSD-WANが使えるのだ。この点こそAryalaの最大の強みだと語るのは、APACシニアバイスプレジデントのマリオ・ベッキオ氏だ。「拠点に設置するハードウェアを売ることを主目的としたSD-WANベンダーも多いが、本来はサービスとして提供されるべきだ。我々は、シンプルかつクラウドライクに“as a Service”として使っていただけることをコンセプトとしている」と話す。
Aryaka APAC担当シニアバイスプレジデントのマリオ・ベッキオ氏(左)と、
ブロードメディア・テクノロジーズ 執行役員 事業開発部 部長の東口和律氏
導入形態の柔軟性も特徴の1つだ。ユーザーによっては、自社のポリシーに従って自らWANを管理・運用したいという要望もあるだろう。その場合には、一部の運用をAryakaに任せながら自身で管理を行う形態も可能だ。「ネットワークの一部をAryaka SD-WANに移行して連携させたいというケースも出てきている」とベッキオ氏。多様なニーズに対応できる。