ネットワーク変革に向けた3つの課題ネットワークの変革を推進する上ではもちろん課題もある。インテルでは、大きく3つの課題があると考えているという。
ネットワーク変革に向けた3つの課題
1つめが、クラウドネイティブなアプリケーションの開発環境の整備だ。クラウドコンピューティングモデルの利点をフル活用して、多くの開発者がアプリケーションを開発できる環境を、通信事業者のネットワークにおいても整備する必要があるという。
その手立ての1つとして、インテルが取り組むのが、ネットワークを構成するデバイスの抽象化である。ハードウェアとの依存関係をなくし、クラウド間でアプリケーションを簡単に移動できるようにする。
これにより、Linuxカーネルをバイパスしてパケット処理を高速化するオープンソースライブラリ「DPDK」とデバイスとの連携を容易にすることを狙っているという。
さらに、「DPDKの機能を取り入れ、Linuxカーネルのパケットの高速処理仕様であるAF_XDPを改善する取り組みも行っている」そうだ。
これが実現すれば、「Linuxカーネルをそのまま使っても、DPDKの70~80%のパフォーマンスが得られるようになる」。
クラウドネイティブな開発環境整備でのインテルの取り組み
2つめの課題は、ネットワークの自動化である。
すでにインテルは、NFVの運用自動化を可能にするソリューション「NFVクローズドループ・オートメーション」を展開している。
これは、(1)テレメトリを用いてデバイス情報を収集して状況を把握、(2)テレメトリで収集した情報を機械学習して障害発生や需要を予測、(3)その予測に基づいてオーケストレーターが自動的に措置を講じるというものだ。
NFVの運用を自動化するクローズドループ・オートメーション
そして3つめの課題が、エッジにおけるサービス開発環境の整備だ。エッジサービスを本格展開するためには、ネットワークとITの双方にまたがるMEC(Multi-access Edge Computing)の技術を習得せずとも、開発者がAPIを介してアプリケーションを容易に作れる環境が必要になる。
分散環境に実装される膨大な数のエッジアプリケーションを効率的に検索して利用できるようにすることも課題だ。
インテルは、2月に開催された「MWC Barcelona 2019」で、これらの要件を満たすエッジ・サービス・ソフトウェア「OpenNESS」を発表した。
エッジ・サービス・ソフトウェア「OpenNESS」のコンセプト
最後にガディヤー氏は、インテルが4月に発表した第2世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー(Code name: Cascade Lake†)を紹介。「5Gのためのパフォーマンス最適化が行われている」と説明した。インテルは、ソフトウェアプラットフォームと汎用プロセッサーを両輪に、ネットワークの変革を推進していく。
第2世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは5Gで求められる要件をクリアしている
† 開発コード名
Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside ロゴ、Xeon、Intel Agilex、Intel Optane は、アメリカ合衆国および / またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。