ワイヤレス工場の切り札誕生! 製造現場IoT化のボトルネック解消

無線によるIoT化を試みる工場が増えている。しかし、無線の導入にはいくつもの課題がある。それらを一挙に解決する可能性を秘めた、無線プラットフォーム「SRF」の策定が進んでいる。

混在する無線を交通整理こうした課題を解決するため、「NICTで開発し、ベンダーと共同で実証した」(FFPA事務局長の厚東肇氏)のがSRF無線プラットフォームだ。

FFPA副会長の佐藤慎一氏は、ネットワークを道路に例えたうえで「SRFの基本的な役割は交通整理」と解説する。

導入されれば、Wi-FiやBluetooth、ZigBeeといった、工場内で飛び交う複数の無線規格を、統合的に制御することが可能だ。

SRF無線プラットフォームは、具体的には①Service Managerと②Field Managerの2つのサーバーソフトと、無線環境をモニタリングする③SRFセンサー、SRF無線プラットフォームに対応する④ゲートウェイ/アクセスポイント(AP)から構成される(図表1)。

図表1 SRF無線プラットフォームのアーキテクチャ
図表1 SRF無線プラットフォームのアーキテクチャ

仕組みは次の通りだ。まずは製造現場のユーザーがService Managerに、利用するアプリケーションのサービス要件を入力する。

Service Managerはアプリケーションごとに求められる帯域、レイテンシー(遅延)、パケットロスなどの無線品質を計算してField Managerに伝送。これが図表2における「グローバル制御」にあたる。

図表2 SRF無線プラットフォームによる階層制御
図表2 SRF無線プラットフォームによる階層制御

情報を受け取ったField Managerは、SRF Sensorでモニターしている電波の利用状況を踏まえ、各ゲートウェイ/APに利用可能な周波数などを伝える。利用可能な周波数を1つではなく複数伝えるなど、自由度をある程度持たせていることがポイントだ。無線環境の瞬間的な変化にも対応しやすくするためである。

最終的に、指示を受け取ったゲートウェイ/APがデバイスの無線制御とQoS制御を行う(ローカル制御)。

こうした流れで、帯域や遅延といった無線の要求品質が異なる様々なアプリケーションにも動的に無線リソースを割り振り、統合管理が可能になる(図表3)。

図表3 SRF無線プラットフォームの動作イメージ
図表3 SRF無線プラットフォームの動作イメージ

月刊テレコミュニケーション2019年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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