M2Mに挑戦する異業種企業(中編)――物流機器のレンタル会社が顧客の声からM2M事業進出

通信業界以外の異業種企業において、M2Mの活用により自社の競争力を向上させようという取り組みが進んでいる。中編では、物流機器のレンタル事業からM2M事業に進出したユーピーアールのケースを取り上げる。

環境分野から引き合い

ソフトバンクモバイルの携帯電話網を用いたなんモニは、独自開発の通信ユニットやサーバー、アプリケーションなど、遠隔監視に必要なものをオールインワンで提供するサービスだ。通信ユニットにはセンサー用インターフェースを7点実装している。

遠隔監視制御ASPパッケージ「なんモニ」の通信ユニット
遠隔監視制御ASPパッケージ「なんモニ」の通信ユニット

なんモニでは、2つのプランが提供されている。「なんモニSMSプラン」は、監視対象に障害が発生すると、ソフトバンク携帯電話宛てにSMSで緊急通報を 行うものだ。もう1つの「なんモニWEBプラン」は、SMSによる緊急通報に加え、センサーが定期的に収集したデータの記録・閲覧、および機器の遠隔制御 なども行える。収集データの閲覧・管理用のシステムは、ASPの形態で提供されるが、その特徴はASPにもかかわらず、ユーザーの業務形態に合わせてカス タマイズできる自由度を持っていることだという。

なんモニ なんモニ
なんモニのWebアプリケーション画面。左は対象機器の設置箇所が一目で分かる「広域図」、右はアナログデータのグラフ化により状態の推移が分かりやすく把握できる「テレメータ監視」の画面

ユーピーアールではなんモニを「汎用的なサービス」として業種を絞らずに提案しているが、今、特に有望な市場が見えてきたそうだ。それは環境分野である。

例えば、水のリサイクル機器への適用。プラントや温泉の浄化装置に取り付けられているポンプが目詰まりもしくは故障した場合に、緊急信号を発信する。ま た、工場やビルなどの電力使用量の監視も期待できるそうで、工場やビルの省電力化を支援するESCO(エスコ)事業者からの引き合いが多くなっているとい う。このほか、ビニールハウスの温度管理や、ボイラーの稼働監視、ドアの開閉をモニターするセキュリティ分野などで導入実績が出てきているとのことだ。

同社はなんモニの利便性をさらに向上させていく計画である。まずは通信ユニットとセンサーをつなぐ接点数を増やすことだ。また、1つの通信ユニットで広 範囲にある多数のセンサー情報を収集したいというニーズに応えるため、例えばZigBeeなどの無線技術に対応することも視野に入れているという。現在は ソフトバンクのみだが、携帯電話事業者の選択肢も広げていく考えだ。

システム面での拡充とともに、同社が重視するのは活用法の提案である。例えば、CO2削減を図るために国や自治体は一定以上のエネルギーを消費している企 業に対して環境報告書を提出するよう求めているが、報告書作成の支援を事業化することも計画しているという。M2Mの仕組みだけでなく、その先の活用方法 までワンストップで提供することを目指しているのだ。

【前編】人手頼みだったAEDの点検作業を効率化

月刊テレコミュニケーション2010年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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