M2Mに挑戦する異業種企業(中編)――物流機器のレンタル会社が顧客の声からM2M事業進出

通信業界以外の異業種企業において、M2Mの活用により自社の競争力を向上させようという取り組みが進んでいる。中編では、物流機器のレンタル事業からM2M事業に進出したユーピーアールのケースを取り上げる。

前編で紹介したフクダ電子はM2Mの活用によって自社商品の付加価値向上を果たした例だが、M2Mマーケットの将来性に惹かれ、通信やIT以外の異業種からM2Mサービス事業に参入する企業も出てきている。その1社が、パレットなどの物流機器のレンタル事業を主力とするユーピーアールだ。パレットとは、輸送や物流において効率的に荷役作業を行うための荷台のこと。同社モバイルソリューション事業部部長の工藤剛史氏は「通信事業の世界では“飽和状態”という言葉が聞かれるが、モノ同士の通信のマーケットは大きな可能性を持っている。人手を介して行っているモノや場所の管理を人がいかずに行えるようになればコスト削減につながるからだ」と語る。

ユーピーアール モバイルソリューション事業部部長の工藤剛史氏
ユーピーアール モバイルソリューション事業部部長の工藤剛史氏

ユーピーアールがM2M事業に参入したきっかけは顧客の声だ。パレットはその性格上、あちこちへと運ばれる。レンタルしているパレットがどこかに無駄に滞留してないかなどをチェックするため、「パレットの位置を知る方法はないか」という要望が寄せられていたのだ。そこで同社はウィルコムのPHSを用いた位置情報追跡サービス「なんつい」を開始。このなんついの成功を機に2007年11月にM2M事業を推進するモバイルソリューション事業部を設置、そして2009年7月には遠隔監視システム「なんモニ」もスタートさせた。

月刊テレコミュニケーション2010年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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