KDDIの小野寺正社長兼会長は2010年9月10日、携帯端末向けマルチメディア放送の開設計画の認定がNTTドコモ陣営のマルチメディア放送(mmbi)に決定したことについて、「安さが最終的な評価ポイントになったようで残念」と語った。
2011年7月に停波するアナログ放送の空き周波数帯を利用し、携帯端末向けに新たな放送サービスを提供する受託放送事業者をめぐっては、米クアルコムのMediaFLO技術を採用するKDDI陣営のメディアフロージャパン企画(MJP)と、国産技術のISDB-Tmmを利用するmmbiが「1枠」を激しく争っていた。
携帯端末向けマルチメディア放送の開設計画の認定について語るKDDIの小野寺正社長兼会長 |
小野寺社長は「モバイルマルチメディア放送という概念がどこにあったのか、少しあやふやだったのではないか」と指摘。「我々が考えていたマルチメディア放送は、まさしくモバイル上でのマルチメディア、つまり、映像を配信するだけではなく、データのダウンロードサービスも含んだもの。それを実現する仕組みという観点からいえば、メディアフローのほうが非常によくできている」と主張した。それだけに、「委託事業者にできるだけ安く提供するために、システムの投資額なり、運用経費が安ければよいという観点で決まった気がする」と残念がった。ただ、「今回は3回も公開説明会が開かれるなど、内容については皆様方にどこがどう違うのかをご理解いただいたうえで判断を下されたので、我々としては残念ではあるが、致し方ない」と述べた。
mmbi側が委託事業への参加を呼び掛けていることについては、「我々が目指している(サービスができる)システムかどうか」と仕様開示を求めた。「我々は放送をやろうとは考えていない。あくまでもモバイルマルチメディアという観点で捉えているので、現在公開されている放送に関しての仕様だけでは、彼らと一緒にやる、もしくは委託放送事業者になるということは考えていない」と語った。