Windows 10とそれ以前のWindows OSで大きく変わったことの1つに、提供形態の違いがある。
サービスとして継続的に機能更新が行われるWindows 10は、いわば“クラウド的なOS”と言える。定期的なアップデートによって、ユーザーは安定性の向上やセキュリティの強化、機能の改善、新機能の追加といった数々のメリットを“ずっと”享受できるのだ。
ただし、その裏返しとして悩ましい問題もある。更新プログラムの配信サイズが格段に増えたことだ。これをインターネット経由でダウンロードする際に発生する大量のトラフィックが、企業のネットワークを圧迫するのだ。
ファイルサイズは1台で数GBにも 自動更新にお任せは危険!Windows 10の更新プログラムは、毎月配信される「品質更新プログラム(QU)」と、「機能更新プログラム(FU)」の2種類がある。FUはOSの新バージョンであり、現在は半年に1回配信されている。
そのサイズは、QUが約1GB、FUは3~4GBにもなる。仮に1000台のPCがあれば、月例更新の際には合計1TB、FU配信時には3TBを超えるトラフィックが発生するのだ。Windows 7では月々の更新ファイルもそれほど大きくなく、新機能を追加するサービスパックも数百MBだったのに比べると、まさに“洪水”のようなトラフィックが押し寄せることになる。
さらに、同様の問題はOffice 365 ProPlusにもある。
Office 365 ProPlusはクラウドサービスだが、クライアント内でもソフトウェアが動作しており、その更新がWindows 10と同じように行われる。サイズは若干小さくなるが、これまで行われた更新の実測値では、月々の更新が80~400MB、FUも大きい時には600MBに達している。企業ネットワークへの影響は無視できない量だ。
Windows 10もOffice 365 ProPlusも自動更新機能があり、放っておけば、各クライアントが一斉にインターネット回線を使って更新プログラムをダウンロードする。「大規模導入されたお客様は、回線の帯域がどれほど太くても足りなくなる。この対処法についてのご相談が増えている」と話すのは、日本マイクロソフトでシニアプレミアフィールドエンジニアを務める大村隆浩氏だ。
日本マイクロソフト エンタープライズサービス事業本部
シニア プレミアフィールド エンジニア 大村隆浩氏
帯域の逼迫を避けるにはどうすればよいのか――。