――ネットワーク業界の歴史を振り返ると、様々な浮き沈みもありましたが、そうしたなか長年にわたりトップベンダーの一角を担ってきたのがジュニパーネットワークスです。最近のビジネスの状況はいかがですか。
古屋 ジュニパーは昨年20周年を迎えましたが、2016年は設立以来、最も好調な年でした。2016年のワールドワイドでの売上は約50億ドル。実はこの5年間、売上はずっと右肩上がりで成長しており、2012年と比較すると約6億ドルも売上は増えています。
営業利益率もかなり堅調で、2012年に15.6%だった営業利益率が、2016年は23.4%まで伸びています。
――日本の製造業からすると、驚くような営業利益率ですね。国内でのビジネスの状況はどうですか。
古屋 国内についても、2年ほど前から順調にビジネスが拡大しています。具体的な数字は言えませんが、成長市場であるAPACのビジネスを最も牽引しているのが日本です。
――グローバル、国内ともに好調ということですが、何が要因ですか。
古屋 好調の背景には、2014年11月にCEOに就任したラミ・ラヒムが打ち出した戦略があります。
ジュニパーは元々ルーター、スイッチ、セキュリティの3分野に特化してきたベンダーですが、ラミがCEOに就任した当時は、多様なソリューションにポートフォリオが広がっていました。例えば、無線LANアクセスポイントやエンドポイントセキュリティなども提供していました。
しかし、ラミが「ネットワークベンダーとしてのフォーカスをもう一度見直そう」と、ルーター、スイッチ、セキュリティの3分野に再度フォーカスすることに決めたのです。これが功を奏して、売上が回復してきたという背景があります。
――ライバルのシスコが、サーバーにも手を広げているのとは対照的です。
古屋 そうですね。我々はネットワーク専業メーカーとしての強みを最大限伸ばそうとしています。
――以前のジュニパーには「特に通信事業者に強い」というイメージがありました。しかし、先日読んだ海外の記事には、現在の上位顧客10社のうち、5社がクラウド事業者、3社が通信事業者、2社がエンタープライズと書かれていました。売上が伸びるなか、顧客構成にも変化が起きているのですか。
古屋 ジュニパーの売上全体の約7割は、サービスプロバイダーが占めています。以前はこのサービスプロバイダーの上位ほとんどを通信事業者が占めていましたが、この3~4年でかなりシフトしました。今はハイパースケールのクラウド事業者も、我々のとても重要な顧客になっています。
――クラウドの波にしっかり乗ったわけですね。
古屋 はい、国内でもクラウド関連のビジネスは非常に伸びています。